中国EV大手のBYD(比亜迪)が、ブラジルでの電池現地生産を一気に加速させる。同社ブラジル上級副社長のアレクサンドル・バルディ氏が6月16日にロイターのインタビューで明らかにしたもので、乗用車向け電池の現地生産拡大に加え、送電網向け蓄電システム(BESS)の生産ラインに最大5億レアル(約100億円)を投じる方針を示した。
BESS新設へ最大100億円
BYDはブラジルの電力グリッド向けBESSの生産ラインを新設する計画で、今後90日以内にマナウス工場への追加か新工場建設かを決定する。ブラジル政府は2026年12月に初の大規模蓄電入札を予定しており、落札者は15年契約で2028年8月からの供給が求められる。バルディ氏は「これはまったく新しいフロンティアを開くものだ」と語った。
関税網回避とインフラ戦略
欧米を中心に中国製EVへの追加関税や厳格な現地調達ルールの網が張られるなか、同社はすでにハンガリーやトルコ、東南アジアなどで工場網を構築。2026年に海外販売160万台という野心的な目標を掲げ、貿易障壁の回避に動いている。
特筆すべきは、ブラジル市場における事業の広がりだ。単なるEVの売り込みにとどまらず、電力インフラの中核を担うBESS事業にまで参入することで、国のエネルギー基盤そのものに深く根を下ろす構えを見せている。
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サプライチェーンの現地化
BYDはバイア州カマサリ工場への55億レアル(約1,080億円)投資計画の一環として、乗用車向け電池の現地生産を開始する。また、マナウス工場ではバス向け電池の生産ラインを5,000万〜6,000万レアル投資して拡充中だ。バルディ氏は「真のブラジルメーカーになるために現地化を進めている。電池はその重要な構成部品の一つだ」と述べた。同社は2027年初頭までに現地調達率50%の達成を目指す。
再エネ課題打開
ブラジルにとっても今回の動きは重要な意味を持つ。同国では太陽光や風力の急拡大に対して送電網の容量が追いつかず、ピーク時に発電を強制停止するカーテルメント問題が深刻化している。国産BESSの普及はその解決策として期待されており、再生可能エネルギー投資の再活性化にもつながり得る。
経済効果も計り知れない。カマサリ工場のみで最終的に1万人規模の雇用を生み出すほか、現地調達率の引き上げに伴う部材・素材メーカーへの波及効果も大きい。12月に控える大規模グリッド蓄電の公的入札でBYDが主導権を握れば、南米全土における巨大なエネルギービジネスの試金石となるのは間違いない。