豪州のクイーンズランド大学にて新しく開設された“バイオサステナビリティ・ハブ”に所属する環境工学者たちは、鉱業残渣の無害化や重要な希土類元素の微量回収を、強力な化学薬品の使用なしに実現できる可能性のある独自の菌株を培養しているという。6月23日、同大学のWebサイトでこの詳細が公開された。
これによれば、鉱山廃石から重要鉱物を回収するのに広く用いられている従来の浸出法は、“高価かつ環境に悪影響を及ぼす可能性のある酸や溶剤に依存している”一方で、今回、同ハブの研究者らが開発した全く新しい進出法では、菌株を使用することで、環境負荷の低い生物学的プロセスを通じて貴重な金属を回収・再利用できるようになるという。
“超能力”を持つとされるこの超菌(Super fungi)は、鉱山で自然に生育する菌類を採取し、それを研究者らが遺伝子操作によって改良したものであるといい、具体的には、実験室の適応的進化によって、つまり菌を長期間にわたり過酷な環境下に置くことで、最も強いものだけが生き残り、より効果的な株へと進化するようにする手法によって誕生したそう。
鉱業廃棄物は、この遺伝子操作された“超菌”と原料と組み合わされ、同ハブにある最先端のバイオリアクターによって処理されていく。菌類が原料を消費する過程において、代謝の一環として天然の有機酸を生成し始めるそうで、それらの酸が鉱業廃棄物を分解し、鉱物の構造を不安定化させ、閉じ込められていた金属を液体の形で放出させる、というロジックであると説明されている。
所長を務めるEsteban Marcellin教授は、「我々は、廃棄物、排出物、低価値の素材を持続可能で高付加価値のある製品に変換するため、最先端の合成生物学を活用して微生物や生物システムを設計しています」と語り、「企業に対して、基礎的な発見から実社会での応用へとつなぐ架け橋を提供するもの」と同ハブを評価している。
オーストラリアン・マイニング紙(6月24日)によれば、豪州では毎年推定6億2,000万トンの鉱山廃棄物が発生しており、その多くは稼働中の約250カ所の尾鉱ダムに貯留されているという。