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リケンNPR 要素機械技術展で薄型アクチュエータ、樹脂成型波動歯車減速機などネクストコア製品を展示

2026/07/06 14:00
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リケンNPR 要素機械技術展で薄型アクチュエータ、樹脂成型波動歯車減速機などネクストコア製品を展示

リケンNPR(6209)は経営統合を経て、従来のエンジン部品依存からの脱却を図っている 。同社は成長分野であるEVやロボット、電子機器向けの新技術を展開する「ネクストコア事業」を第3の柱として育成しており 、ものづくりワールドの機械要素技術展にて、薄型アクチュエータ、樹脂成型波動歯車減速機、その他の注目製品群を展示した 。

リケンNPR(6209) ものづくりワールド展示、26/3期 本決算分析レポート

第3の柱のネクストコア事業製品を展示、26/3期は4.2%減収18.2%経常増益で最高益

機械要素技術展でEV,半導体関連のネクストコア事業 の新技術・新分野の展示を行う

東京ビッグサイトで7/1~7/3まで「第38回ものづくりワールド東京」が開始され、機械要素技術展の中でリケンNPRブースを訪れた。同社は2023年10月にピストンリング大手のリケンと日本ピストンリングが経営統合した会社で、従来のエンジン部品への依存から脱却し、EV・ロボット・電子機器といった成長分野へ展開するため、「ネクストコア事業」を第3の柱として育成している。

今回の展示会では、ネクストコア事業中心に、注目される製品群の展示が行われていた。

 

薄型アクチュエータ(EV・省スペース駆動)

同社の薄型アクチュエータ「Flat Actuator」は、その名の通り薄く扁平な形状を実現したもので、限られたスペースに組み込める点が特長である。EVや電子機器では、内部空間を有効活用するために部品の薄型化・小型化が強く求められる。同社は長年のピストンリング製造で培った精密加工技術・材料技術を応用し、薄型ながら十分な駆動力を持つアクチュエータを開発した。

一般的なロボット用アクチュエータ(ハーモニック・ドライブ・システムズ社製や、通常のラジアルギャップモータ+波動減速機の組み合わせ)と比較した場合、リケンの製品には以下のような顕著な違いがある。

 

 

多くの他社が円筒形のモータを使うのに対し、リケンは磁束が軸方向に流れる「アキシャルギャップモータ」を自社設計している。これによりコインのような薄さを実現、さらに高効率な減速機と組み合わせることで、「極薄なのに、外力に対して柔軟に動く(人間と接触した場合)安全なアクチュエータ」を実現している点も、他社との大きな差別化ポイントとなっている。

今回、同社が提示している4つの技術・製品について、それぞれの構造的アプローチと、用途を見ていく。

① 小型モビリティ向けアクチュエータ

構造的特徴として自社製「アキシャルギャップモータ」と「3K型遊星減速機」を組み合わせている。薄型かつ非常に高い高出力・高伝達効率を誇り、優れた逆駆動性を持つ。なお、定格210W・定格トルク20Nm・定格回転数100rpmなので、電動車いす、低速パーソナルモビリティ、AGV/AMR、小型搬送台車、農業ロボットの車輪駆動・操舵に向いている。電動2輪でも、主駆動というより低速補助、変速・回生、操舵・姿勢制御などの周辺アクチュエータの方に利用されよう。

⓶ 小型駆動体向けアクチュエータ

構造的特徴として径を小さく(細く)することを念頭に、モータ部には「ラジアルギャップモータ(一般的な円筒形に近い)」を採用。そこに、薄型化に特化した「特殊サイクロイド減速機」を一体化させ、トータルで「極薄かつスリム」に仕上げた製品。主役は「狭い場所に入る10Nm級の薄型回転軸」。「φ70×35mm、12V」という仕様から、ロボットの手首・指、グリッパ、検査装置の回転ステージ、医療機器の小型関節、メンテナンスロボットのカメラ雲台、AGVの小型ステアリングなどが用途として、協働ロボット・サービスロボットの関節など、外径をスリム化し軸方向の厚みも抑えたい部位向けに期待される。

③ 超薄型サイクロイド減速機

構造的特徴はサイクロイド(平歯車の一種でピンと曲線歯型を組み合わせた機構)の特徴である「高トルク・高剛性・耐衝撃性」を維持したまま、同社の加工技術で極限まで薄型化した減速機。

用途は産業用ロボット(特に薄型化が求められる旋回部・手首部)など、 衝撃に強く壊れにくいため、重量物を持つロボットの関節に最適な製品。他では、精密位置決め装置・半導体製造装置: 高剛性・低バックラッシを活かし、ウェハ搬送ロボットの薄型回転ステージなど。

 

④ 3K型遊星減速機(横浜国立大学・藤本康孝教授との共同開発)

構造的特徴として 横浜国大の最適化設計プログラム(歯数や転位係数の最適化)を取り入れた、別名「バイラテラルドライブギヤ」と呼ばれる画期的な複合遊星ギヤ。従来、100:1を超えるような高い減速比では一般に不可能とされていた「90%以上の高い伝達効率」と「超・逆駆動性(バックドライバビリティ)」を両立している。用途として、ヒューマノイドロボットの関節・マスタースレーブ操縦システム。実際にトヨタのヒューマノイドロボット「T-HR3」の操縦システム(腕関節の反力提示用)などに採用実績があり、人が触れた時の力を正確に検知・吸収する必要がある場所に適している。その他、ウェアラブルアシストスーツ:などで人の動きを阻害せず、必要な時だけスムーズにアシスト力を生み出す関節部などに向いている。さらにEVの回生ブレーキ付き変速機・駆動部などは逆駆動効率が極めて高いため、減速時のエネルギーをほぼ無駄なく電気に変えてバッテリーに戻すことができ、EVの航続距離延長に貢献できる。

 

 

 

低速高トルク型e-Axle

e-Axleは、EV駆動を担う中核ユニットで、モータ・インバーター・減速機を一体化した「電動駆動装置」である。前述の「⓶小型モビリティ向けアクチュエータ」の発展形にあたる。自動車業界でいう「e-Axle」は通常、高速回転するモータと減速機、インバータを一体化した大がかりな駆動システム(高速域が得意)を指すが、同社はあえて「低速高トルク」に特化させている。

具体的に、従来のe-Axleは高速回転するモータの回転を減速機で落として大きな力(トルク)に変換するが、同社の「低速高トルク型」は、モータ自体を低速でも大きなトルクを出せる構造とすることで、減速機構を簡素化し、効率・静粛性・小型化を高めている。ここで鍵となるのが、圧粉コア(アキシャルギャップモータ)技術である。圧粉コアは、従来の電磁鋼板を積層した鉄心に比べ、複雑な三次元形状を成形でき、渦電流損失を低減できるため、モータの高効率化・小型化に寄与する。同社はピストンリング製造で培った粉末冶金技術を応用し、この分野で競争力を持つ。

 すでに採用事例として、株式会社DONKEYの「スマート農業ロボット CP200」に採用、登坂20度の急勾配でも安定走行できる。

ロボット向け樹脂成形波動歯車減速機(ヒューマノイド関節)

波動歯車減速機とは、ロボットの関節に使われる精密減速機で、回転を大きく減速して精密かつ大きな力を生み出す装置である(ハーモニックドライブが世界シェア80%超を持つ分野)。同社の製品は、これを金属ではなく樹脂で成形する点が革新的。具体的には、独自の「3ローブ機構」(歯車の噛み合い部を3つの山状の構造にすることで負荷を分散し、樹脂でも十分な強度と精度を確保する仕組み)と、「インサート成形」(金属部品を樹脂で包み込むように一体成形する技術)を組み合わせている。樹脂化により、軽量化・低コスト化・静粛性を実現でき、ヒューマノイドロボットや協働ロボットの関節用途で、金属製減速機に対する競争力を持つ。フィジカルAI・ヒューマノイドの量産期到来という構造的成長テーマに直結する製品であり、同社の材料・成形技術が活きる分野である。

射出成形波動歯車減速機は、3K型遊星減速機やサイクロイド減速機とは機構そのものが別であり、スーパーエンプラ材による射出成形で自動車部品や高強度ギヤを量産してきた技術・材料技術を使い、狙いは「高精度・軽量」と「大幅なコストダウン」にある。仕様例では、φ50、減速比50、成形試作品の最大許容トルク13Nm、角度伝達誤差13分、質量37g。一方で切削試作品は最大許容トルク25Nm、角度伝達誤差4分と、成形品は低コスト化と引き換えに、トルク・精度では切削品に劣る。このため低速高トルクe-Axleの主減速機用ではなく、耐熱、衝撃、長時間高負荷、屋外悪路用途を考えると、主駆動系にはハードルがあり、あくまでも軽量化・低コスト化ニーズへの対応製品と言える。なお、具体的な納入先として、2024年2月から、高価格帯の電動アシスト自転車用ドライブユニットに採用、この5月には3社に増え、取引先を広げている。

これまで見てきた製品群は、完全に独立した新製品の寄せ集めではなく、「小型・薄型・高トルク電動ユニット」を作るための共通技術群と思われる。狙いは「減速機+薄型モータ+成形技術」の横展開にあると言えよう。整理してみると、以下のように分類されよう。

 

高熱伝導ノイズ対策熱伝導シート(データセンター・半導体放熱)

熱伝導シートとは、電子部品が発する熱を効率的に放熱するためのシート状の部材である。同社の製品は「高熱伝導」であることに加え、「ノイズ対策」機能を兼ね備える点が特長。生成AI向けGPUやデータセンターのサーバーは膨大な熱を発するため、高性能な放熱部材の需要が急拡大している。熱を伝えやすい材料設計により、電子機器の発熱問題を解決するとともに、同時に電磁波ノイズも抑制する。放熱と電磁波対策という2つの課題を1枚のシートで解決でき、高密度実装が進む電子機器で価値が高い。AI・データセンター関連の放熱需要という成長市場を捉える製品である。

 

 

ピストンリング再編から複合部品・機能材料企業へ

 上記でみてきたように、同社はピストンリング再編から「ネクストコア事業」を第3の柱として育成し、複合部品・機能材企業への変革を目指している。

26/3期は売上高1631億円(4.2%減)ながら価格適正化と統合効果で営業利益128.47億円(8.8%増)、経常利益173.45億円(18.2%増)を確保した。経常利益はリケン+NPR単純合計対比で過去最高益更新、利益率については中計の経常利益率目標を1年前倒しで達成している。なお純利益は保有株売却、退職給付信託返還益、一方で事業構造改善費用計上し、特別損益で13.14億円寄与し60.2%増益となった。

27/3期については外部環境を慎重に織り込み、1%減収、22%営業減益予想となっているが、Hastings寄与と半導体ヒーター拡大、円安で、営業減益予想は避けられないとみられるものの、上振れが期待される。

 

 

 

なお同社は、2026年4月1日付で事業持株会社体制へ移行した。持株会社(ホールディングス)が全体戦略と資源配分を担い、各事業会社が機動的に事業を運営する体制である。この移行により、統合後の各事業の権限と責任を明確化し、意思決定を迅速化するとともに、成長分野(ネクストコア事業)への経営資源の重点配分を可能にする。まさに統合の総仕上げとして、グループ全体の企業価値向上を図る組織再編となっている。

 

26/3期におけるネクストコア事業は売上高134億円(7.2%増)、営業利益10.72億円推定(営業利益率8%、前期比1ポイントアップ)であるが、26年度は180億円(34%増)を目指すとしている(24年策定時)。同社は「2030Vision」において、売上高2000億円、経常利益率12%以上を目標としているが、ネクストコア事業においては成長投資として400億円を投入予定で、M&Aを含めて、投資額程度の売上規模を目指すものとみられる。

*図表、写真は展示会資料パンフレットを添付、その他決算説明会資料などからも添付

 

H.Okamoto

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