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三井ハイテック 要素機械技術展で多様なモーターコアを展示 27/1Q1好調で27/1期16.3%増収14.6%営業利益増予想と一転増益予想に変更

2026/07/11 02:27
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三井ハイテック 要素機械技術展で多様なモーターコアを展示、従来のカシメ方式に加え、カシメブロックや3D積層コアなど多様なモーターコアを展示。27/1Q1好調で27/1期16.3%増収14.6%営業利益増予想と一転増益予想に変更、先行投資重いが28/1期以降に投資効果で本格収益拡大期待。

三井ハイテック 機械要素技術展で取材:カシメブロック、3D積層コアなど多様なモーターコアを展示

三井ハイテックが機械要素技術展で多様なモーターコアを展示 

東京ビッグサイトで開催された第31回機械要素技術展にて、三井ハイテックブースでカシメブロック、3D積層コアなど多様なモーターコアを展示していた。

展示内容は、単なる部品供給に留まらず、金型技術と自動積層システム(MACシステム)を組み合わせた「製造プロセスそのものの最適化」を提示していた。特に、3D積層技術やカシメレス構造へのアプローチは、電気自動車(EV)の普及に伴い激化するモーターの性能競争において、独自のアプローチで設計の自由度と生産効率を両立させる重要な鍵となろう(なお、撮影禁止のため、配布カタログで紹介)。

①カシメブロック 

カシメを無くすことで、モーター性能を上げるために開発されたモーターコア。 カシメ部を製品以外の箇所に配し、溶接、巻き線などの組立工程後にカシメ部(カシメブロック)を取り外す事で、カシメレスのコアが完成する。カシメブロックコアは、通常のモーターコア内部にカシメを残すのではなく、製品外の部分にカシメ部を設け、溶接・巻線などの組立工程後にそのカシメブロックを取り外す。これにより、最終的にはカシメレスコアにするという考え方。展示会情報でも、カシメ部を製品以外の箇所に配し、組立工程後に取り外すことでカシメレスのコアが完成すると説明がなされた。

これにより、従来カシメの弱点である、カシメ突起部による局所的な磁気特性劣化、鋼板占積率の低下、積層面の凹凸、薄板化時の締結力低下といった問題を抑えつつ、同社が長年蓄積してきた順送金型・MACシステム・カシメ量産ノウハウを活かせるのがポイントとなっている。

EV主機モーターでは、HEV以上に高回転・高出力密度・低損失・低騒音が重視され、モーターコアには、薄板電磁鋼板、低鉄損、平滑な積層、高い鋼板占積率、巻線時の精度・剛性が求められる。黒田精工のGlue FASTEC®は、型内接着積層により薄板対応、鉄損・発熱低減、振動・風切音低減、抜熱性向上を訴求しており、一般的なダボコア比で鉄損を10%以上低減している。EVで「従来カシメが不利」と言われるのは、カシメそのものが悪いというより、コアの磁路内に機械的な塑性変形部・凹凸・局所応力を残すと、鉄損・振動・占積率の面で接着積層に見劣りするため。黒田精工の接着積層はこの弱点を突いた技術で、テスラを代表に、欧米の量産車載用モーターへの採用実績を開示している。

 これに対し、同社のカシメブロックの最大の優位点は、最終製品としてはカシメレスに近い磁気特性を狙いながら、接着剤層を使わずに済む可能性がある点。接着積層は鉄損・振動・薄板対応で強い一方、接着剤塗布・硬化・熱履歴管理・接着剤層の厚み・長期耐熱性が制約となる。三井方式は、カシメ部を外部に逃がして最後に除去するため、コア内部には接着剤層もカシメ突起も残さず、鋼板占積率や熱伝導の面で理論上有利になる。もう一つの重要点が焼鈍適性。一般的に、接着積層済みのコアを高温焼鈍すると、接着剤の熱劣化・溶融・剥離が問題になる。接着積層では焼鈍を不要とする設計思想もあるが、プレス加工で発生する残留応力を焼鈍で抜きたい顧客にとっては、接着剤がボトルネックとなる。カシメブロックは、接着剤を使わず、仮固定・組立後にカシメ部を除去できるため、歪取り焼鈍を工程内に組み込みやすい。この点は、焼鈍で鉄損を下げる思想を持つ顧客、特に同社がHEVで最大顧客となるトヨタ系には最大のセールスポイントとなる。

例えばトヨタ系のトヨタ紡織は、モーターコアをヤリスやノア/ヴォクシー向けに生産しており、「高速冷却によるハイサイクル焼鈍」をモーターコアの強みとして明記している。さらに、鉄損低減には結晶歪みの除去と結晶粒成長が必要で、そのために焼鈍を行うと説明し、徐冷時間を従来の1/6に短縮、炉長を30%短縮し、他社比で優位性があり電動製品の受注拡大に貢献すると述べている。

現在、このカシメブロックがトヨタのEVに採用されたという記事は出ていないが、最大顧客のトヨタ系・量産志向顧客向けに、接着積層の性能メリットをカシメ量産の枠内で取り込む技術と考える。今後、トヨタに正式採用となれば、改めて大きなインパクトとなろう。

 

②環状取りコア

分割ティース集中巻きタイプのモーターで、音や振動を抑えるために開発されたコア。

「環状取りコア」は、モーターコアの製造において背反する要素であった「高出力化(巻線の高密度化)」と「滑らかさ(高精度化)」を両立させた画期的な技術。この技術は特定の性能要件が求められる領域で圧倒的な強みを発揮する。

 

通常の分割ステーターコアは、あらかじめ分割された状態で打ち抜かれるため、後工程での銅線の巻き付け(巻線)がしやすく、コイルを隙間なく詰め込めるため「モーターの小型・高出力化」に有利である。しかし分割された部品を組み合わせるため、真円度や寸法精度が落ち、回転時に「コギングトルク(カクカクとした振動やトルクムラ)」が発生しやすくなるという弱点がある。この環状取りコアは、従来の分割ステーターコアとは異なり、一体構造として金型から排出した後にコアを分割するのが特徴。これにより従来の分割コアでは不可能だった回転積層が可能となるため、真円度や平行度などの精度が向上し、コギングトルクが低減される。用途としては電動クラッチなど、EV補器モーター向けなどに使われる。

具体的には、従来の分割コアとは異なり、まず「一体構造のステーターコア」として金型内で打ち抜く。一体型のため、鋼板の板厚偏差を相殺する「回転積層(1枚ごとに少しずつ角度をずらして積層する技術)」が可能となる。その後、排出後の分割では極高真円度・平行度・直角度を保ったまま金型から排出し、コアを分割する。 分割コアの高出力(高占積率)を維持したまま、一体コアと同等の超高精度を実現でき、コギングトルクが劇的に低減され、極めて滑らかで静音性の高い回転が可能となる。

この「滑らかで力強い」という特性が最も活きる主要な採用分野が、EPS(電動パワーステアリング)用モーター。EPSはドライバーが直接手で触れるステアリングに直結しているため、モーターの僅かなコギングトルク(引っ掛かり感)や振動が、そのまま運転の違和感や不快感に直結する。環状取りコアは「EPS用モーターをもっとなめらかで力強いものにしたい」という顧客(Tier 1やモーターメーカー)の強い要望から開発された経緯がある。

また、「自動車の電動化に伴う製品のモーターに静音性を生かせる分野」としても使用価値がある。エンジンという巨大な音源がなくなったEVでは、これまでかき消されていた「補器類モーターの高周波ノイズや振動(NVH:ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)」が車室内の快適性を著しく損なう原因となる。またバッテリーやインバーターの冷却、駆動系の潤滑を行うポンプの駆動モーターは常時稼働することが多く、高周波の「キーン」という作動音(モータの磁気音や振動)が車内に響きやすい部品。ここでも環状取りコアによるコギングトルクの低減は、このポンプ特有の唸り音を抑える上で大きな効果を発揮するとみられる。

 

③3D積層コア(俵積コア)

巻き線のムダを無くし、モーター性能を上げるために開発された製品。ステーターティース部の巻き線部をR形状にすることで銅線が密着しやすくなり、従来よりも無駄なく多く巻くことが可能になり、モーターの性能向上を実現している。モーターのコア(鉄心)製造において、同社の金型技術の高さがモーターの基本性能向上に直結している、非常に興味深い製品となっている。

主な利点は巻線占積率(スペースファクター)の劇的な向上にある。これは通常の平坦なコア(角のある形状)に丸い断面の銅線を巻くと、どうしてもデッドスペースが生じ、乱巻きになりがち。しかし、コア側をR形状に沿わせることで、銅線が自然と「俵積み(ハニカム状の最密充填)」に整列して密着する。これにより、限られたスロット内の空間に従来よりも無駄なく多くの銅線を巻き込むことが可能となる。銅損の低減と高効率化において、巻線密度が上がる(より太い線を巻ける、あるいは多く巻ける)ことで、電気抵抗が下がり、結果としてモーター発熱の主原因である銅損が抑えられ、エネルギー効率とトルクが底上げされることとなる。

 

この技術は、「限られたスペースで、極限までモーター効率と出力を引き上げたい」という物理的な制約が強い場面で圧倒的な威力を発揮する。高密度巻線による高出力化は、機器全体の軽量化とペイロード(可搬重量)の増加に直結する。このため、小型・軽量でありながら高い応答性とトルクが求められる多関節ロボットや精密機器に組み込まれるモーターなどがターゲットとなろう。また自動車の電動化において、モーターの小型化と航続距離の延長は常に課題であり、俵積コアによって巻線密度を上げることで、モーターの体格を大きくせずに効率を向上させることができ、バッテリー消費の最適化に貢献できる。さらに積載スペースと重量がシビアに制限されるドローンなどのバッテリー駆動用では、銅線の無駄を削ぎ落とし、発熱を抑えられる3D積層技術が、飛行時間や稼働時間の延長というニーズにもマッチするとみられる。

④3D積層コア(アキシャルギャップコア)

「高出力・小型軽量なモーター」の需要に応えるために開発されたアキシャルギャップモーター用のコア。同社の可変打ち抜き(積層方向の打ち抜き形状変更)技術を活用し、順送打ち抜き金型での生産を可能にした。

3D積層コア(アキシャルギャップモーター用)は、アキシャルギャップモーター特有の「製造難易度の高さ」を克服し、量産化への道を開く画期的な開発品となっている。

回転軸(シャフト)に対して垂直(放射状・ラジアル方向)に磁束が流れる構造のラジアルギャップモーター(RGM)は、一般的な円筒形の形状を持ち、現在市場に流通しているモーターの大部分がこの形式であり、同じ形状で打ち抜いた電磁鋼板を平面的に積み重ねるだけでステーターが完成する。しかし、アキシャル型は磁束が3次元的に流れるため、複雑な立体形状のコアが必要となる。従来はこれを実現するために、高価な圧粉磁心(SMC:鉄粉を焼き固めたもの)を使用するか、もしくは複雑な巻線構造を用いる必要があり、これが大量生産とコストダウンの大きな障壁となっていた。

同社は独自の「可変打ち抜き技術(積層方向の打ち抜き形状を連続的に変える技術)」により、金型内で積層方向に向かって打ち抜き形状を1枚ずつ連続的に変化させる「可変打ち抜き技術」を確立した。ステータティース(磁極歯)の巻線部に滑らかなR(丸み)形状を付与、銅線が密着しやすくなり、デッドスペースなく高密度に巻くことが可能になり、銅損が低減し、モーターの小型・高出力化が可能となった。これにより、これまで高価な圧粉磁心(SMC)に頼らざるを得なかった複雑な立体形状のコアを、汎用的で磁気特性に優れた電磁鋼板へ置き換え、順送プレス金型で一気に大量生産することを可能にした。この順送プレスによる3D積層技術は、アキシャルギャップモーターをニッチな特殊用途から、産業用ロボットや次世代EV(インホイールモーター等)へ普及させるための決定的な要素技術となるだけに、ロボット関節部や工作機械の小型化において、このアキシャルギャップモーターの実装によるスペース効率の改善などが可能となる。

このほかにも、薄型コア、MACシステムなどの説明もなされていたが、いずれにしても、同社のモーターコアに対する様々なアプローチが十分に伝わるブースであった。

 

業績は27/1Q1で増額修正し27/1期16.3%増収14.6%営業増益予想と増益予想に変更

同社の27/1Q1業績は売上高618.86億円(前年同期比+13.2%)、営業利益44.33億円(同+27.8%)、経常利益58.91億円、純利益45.84億円と増収増益で着地した。前期に低下した連結収益性が急回復する動き示す決算内容となっている。増収効果、稼働率改善により総利益率が0.9ポイント改善から営業利益伸びが増収率を上回った。

牽引役は、電子部品事業(半導体用リードフレーム)の需要回復と、電機部品事業(電動車向けモーターコア)の堅調な販売である。1Qでは電子部品の営業利益率が約9.3%、電機部品が約8.3%まで改善し、前期に低下した収益性が持ち直した。経常利益(58.91億)が営業利益(44.33億)を上回るのは、持分法投資利益・為替影響などの営業外収益による。

 

Q1の収益回復を受け、会社側では27/1期予想を増額、売上高2540億円(期初計画比210億円増額、16.3%増)、営業利益は145億円(同35億円増額、14.6%増)、経常利益145億円(同45億円増額、5.0%増)、税引利益100億円(同30億円増額、3.2倍)予想と、一転して減益予想から増益予想に転じた。

 

 

 

現在、半導体生産の拡大、円安継続で、売上高2620億円(20.0%増)、営業利益で155億円(22.5%増)、経常利益は円安影響から175億円(26.7%増)程度の上振れ期待が高まる。

 

中期の収益性見通しはJカーブの底

同社の中期経営計画によれば、28/1期が収益性の底となり、29/1期以降に販売伸長により収益性が良化に転じる見通し。これは、電動車市場(BEV中心)の成長鈍化やOEM(自動車メーカー)における新規品立ち上げのタイミング後ろ倒し、メキシコ新工場等への先行投資コストなどが、当面の収益を圧迫するため。まだ中期的には先行投資負担が続く局面にある。

なお、25年3月公表の中計対比では、27/1期・28/1期の受注が市場環境変化により減少する見通し。レガシー半導体市場の回復遅れ、電動車市場(HEV・BEV)のグローバルな成長鈍化が背景としてあるが、半導体については推論型AIデータセンター需要の高まりで、GPUやHBMだけでなく、DDR、フラッシュメモリも本格的な回復を見せており、1Qの好調がこの中期見通しをどこまで上方修正させるかが、今後の注目点となる。

同社の中核的な成長基盤は、電動車向けモーターコアの世界トップシェアである。同社は既存のカシメ工法に対応している。世界の電動化はBEVだけでなくHEV・PHEV・MHEVなど多様な経路で進むため、今回展示された様々なコアにより、全電動車タイプに対応できる同社の強みが活きる。北米市場向けにメキシコ新工場を設立し、コスト先行ながらグローバル供給体制を拡大している。

電子部品事業のリードフレームは、EBITDAマージン12.3%と高い収益性を持つ安定的なキャッシュ創出源となっている。リードフレームはレガシー半導体向けが中心のため、これまで学習型生成AI向けの先端半導体の恩恵は限定的だが、推論型DC投資の本格拡大、車載・省電力機器の成長を取り込むパワー半導体向けリードフレームは成長余地がある。

同社は現在、先行投資による利益圧迫の局面にある。減価償却方法の変更(定率法→定額法)や有利子負債の増加(D/Eレシオ0.77倍)も、財務面の変化として認識される。28/1期を収益性の底とし、29/1期以降のグローバル電動車市場の拡大とともにJカーブを描いて回復するシナリオに期待したい。

 株価は業績伸び悩みを受け、低迷を続けていたが、27/1期Q1の増額修正を受けて上昇、6/17に1358円(ピーク時22年4月の半値水準)の年初来高値を付けたものの長続きせず、1000円割れとなっている。現在27/1期会社修正予想EPS54.72円に対し、PER17.9倍は、東証プライム電機平均PER35.2倍に対し割安であるが、モーターコアの黒田精工(7726)の27.3倍に対し割安、一部リードフレームを手掛けるエノモト(6928)の13.3倍に対しては多少割高となっている。

同社は先行投資負担が重く、この負担増が表面的に収益性を悪く見せている面があり、28/1期以降、投資負担が一巡し、収益性が大幅に改善するとみられる。リードフレームはレガシー半導体の回復など収益拡大が加速するとみられ、モーターコアはトヨタのHEVの拡大継続が寄与するとみられる。このため、27/1期再増額も期待されることから、評価としてややポジティブと考えたい。

 

                  *機械要素技術展ではブース内撮影禁止のため、カタログから添付、その他会社決算説明資料などから添付もしくは加工、チャートはヤフーから添付
 

H.Okamoto

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