Loading...

2026年5月フェロチタン輸入統計分析 数量反落も価格は高止まり スポット調達主体の構図続く

2026/07/30 10:54
文字サイズ
2026年5月フェロチタン輸入統計分析 数量反落も価格は高止まり スポット調達主体の構図続く

関連記事→
【貿易統計/日本】 2026年5月のフェロチタン輸入統計
鉄鋼生産概況月次:一般社団法人日本鉄鋼連盟 (jisf.or.jp)


為替相場推移 TTS 3か月

 

(詳細分析)
■数量面
5月の輸入数量は340トンと、前月(415トン)から18%減少し、前年同月比でも61%にとどまった。英国は240トン(前月比120%)と増加した一方、「その他」は100トン(同47%)へ大きく減少し、全体数量を押し下げた。「その他」の内訳はタイ60トンを中心に、インド20トン、エストニア20トンで構成され、中国、韓国、ブラジルなどからの輸入はなかった。
1~5月累計は1,967トンで前年同期比93%。英国は1,140トン(前年比68%)と減少した一方、「その他」は827トン(同195%)と大幅増を維持しており、英国依存は低下しつつも、タイやインドなどを組み合わせた補完調達が続いている。5月は英国の数量が持ち直した反面、スポット調達が減少したことで、全体ではやや低調な輸入となった。(表―1、グラフ―1)。




 

■金額面

5月の輸入金額は1億79百万円と、前月(2億26百万円)から21%減少し、前年同月比でも52%にとどまった。英国は1億26百万円(前月比122%)と増加した一方、「その他」は53百万円(同43%)へ大幅に減少し、全体金額を押し下げた。

1~5月累計は10億38百万円で前年同期比71%。英国は5億93百万円(前年比50%)と大きく減少した一方、「その他」は4億44百万円(同158%)と前年を大きく上回り、供給源の分散化が進んでいる。総じて5月は、英国からの調達が持ち直したものの、スポット案件の減少により全体では金額・数量とも前月を下回る結果となった。(表―2、グラフ―2)。



 

■輸入CIF単価
輸入CIF単価は、全体平均で4月の545円/kgから5月は527円/kgへ低下した。5月は為替が160円台から159円台へやや円高方向に推移したことに加え、「その他」の平均単価が570円/kgから531円/kgへ低下し、全体平均を押し下げた。一方、主力の英国品は517円/kgから525円/kgへ小幅上昇しており、欧州フェロチタン価格が高値圏を維持したことを反映し、主要調達先の価格は底堅く推移した。
総じて5月は、円高と調達先構成(ミックス)の変化により輸入CIF価格はやや調整したものの、国際フェロチタン市況は原料コストの高止まりを背景に依然として堅調であり、英国品を中心とする輸入価格も500円/kg台前半を維持した。足元では欧州市場も小幅な調整局面に入っているが、高値圏での推移が続いており、日本の輸入価格も当面は底堅い展開が見込まれる。

フェロチタン(Ti 70% EU USD/Kg)1年

 

主要税関別数量・CIF実績 (  )内は前月実績

 

■今後の展望
フェロチタン輸入は、英国を主力としつつもスポット調達を組み合わせた多元化が続く見通しである。日本鉄鋼連盟統計では、特殊鋼生産は緩やかな持ち直しがみられる一方、普通鋼や建設向け需要はなお力強さを欠いており、フェロチタン需要も大幅な拡大には至りにくい。このため輸入数量は在庫補充や個別案件に左右されながら、当面は横ばい圏で推移する公算が大きい。
価格面では、欧州フェロチタン価格は2026年春以降5ドル台半ば/kg Tiの高値圏を維持し、6月後半にはやや調整したものの、原料チタンスクラップ価格や製造コストの高止まりを背景に底堅く推移している。一方、為替は6月以降再び円安方向へ振れており、輸入コストを押し上げる要因となる可能性が高い。総じて当面は、「数量は横ばい、価格は高値圏維持、調達先は多元化」という基調が続き、実需の回復度合いと為替動向が今後の相場を左右する展開となりそうだ。


(IRUNIVERSE S. Aoyama)

 

青山 雫

関連カテゴリ

関連記事

新着記事

ランキング