一般社団法人 日本チタン協会による2026年度 賛助会員部会 夏季総会・研修会が、2026年7月23日(木)、如水会館で開催された。総会には事務局を含め88名が、研修会には92名が参加した。
第一部<総会>では、村上仁、日本チタン協会専務理事が、委員会活動状況と日本のチタンの市場動向を説明した。2025年度の日本のスポンジチタン出荷量は、約50,910トンと2024年度(52,142トン)を下回る見通しとなった。
第一部<総会>では、村上仁、日本チタン協会専務理事が、委員会活動状況と日本のチタンの市場動向を説明した。 昨年発足した「サーキュラーエコノミーWG」では、チタンリサイクル実態調査を進めた。
写真 下 村上専務理事

<日本のスポンジチタン出荷量推移:年度>
日本のスポンジチタン分野では航空機向け需要が引き続き堅調に推移している。
2025年度の日本のスポンジチタン出荷量は、約50,910トン(2025年4月~2026年1月実績:42,342トンから年率換算)と、2024年度(52,142トン)を下回り、ボーイング社の品質問題等によるサプライチェーン内での在庫調整や一般産業用向けが前年度を下回る見込みであるものの総じて高いレベルを維持する見通しとなった。
輸出向けは約39,154トンと2024年度の35,837トンを上回るものの、
国内向けは約11,754トンと2024年度の16,305トンを下回る見通し。
輸出は主要用途の航空機向けが底堅かった。国内は一般産業用途の不調で伸び悩んだ。生産量は、2024年度を下回る見通し。 図1にスポンジチタンの生産量、出荷量(国内及び輸出)の年度推移を示す。 生産量及び出荷量合計は2024年度を下回るが、輸出は上回る見通しとなった。

図1 スポンジチタン、生産量と出荷量:年度推移
日本のスポンジチタン輸出通関統計によれば、航空機向け需要は米国を中心に高い水準で推移し、2025年度実績は35,326トンで2024年度の35,141に引き続き高い出荷レベルを維持した。
<日本のチタン展伸材出荷量推移:年度>
日本のチタン展伸材分野ではトランプ関税による世界経済の下押しリスクや中国の過剰生産の影響から厳しい状況が継続している。 2025年度の日本のチタン展伸材の出荷量は前年度比ほぼ横ばいの9,803トンとなり、3年連続で前年度実績を下回った上、2年連続で10,000トンを割り込んだ。安価な中国材の台頭もあって厳しい状況の継続が本年度も懸念される。
図2には、展伸材出荷量とともにインゴットの生産量、展伸材出荷国内及び輸出量を示す。

図2 インゴット生産量及び展伸材出荷:年度推移
日本のチタン展伸材輸出通関統計によれば、2025年度実績は前年度(6,707トン)比ほぼ横ばいの6,761トンとなり、低位で推移した。欧州及び中国向け数量減が継続してお先行きが見通しづらくなっている。
写真 下 リオティントジャパン株式会社 Dermot Vibert氏
第2部の<研修会>では、チタン市場の最新情報、変動する原料市場をどう乗り越えるか: 鉱山会社Rio Tintoの取り組み についてリオティントジャパン株式会社 Vibert, Dermot 氏が講演された。
チタン原料は、成熟したグローバル市場が迎える、大きな転換期にある。市場拡大が続くなかでも、Ti原料の供給過剰でここ数年在庫は高止まりとなっている。西側大手による減産や供給障害にもかかわらず、供給過剰となっているのは、中国の過剰生産による。
Ti原料の最終需要市場は、顔料需要が主導しているが、顔料市場は2021年以降伸び悩んでおり、深刻な課題。これは、顔料需要の大半を占める住宅・商業建設市場の低迷が継続していることによるものであり、顔料需要の回復は2026年Q2以降にかけても限定的。
顔料価格は少しずつ上がっているが、これはコストの繁栄であり、利益率は横ばい又は赤である。 回復のポイントは、住宅市場の回復であり、、建築需要が回復しないかぎり、低迷する。
最後に日本のスポンジチタンの圧倒的存在感、品質の安定性はとびぬけているとし、高品質チタン原料を長期に渡り安定的に日本へ供給すパートナーでありたいとした。
<懇親会>
懇親会では、開発会議 議長 八並洋二氏[日本製鉄(株)ステンレス・チタン技術部 部長代理]が乾杯の挨拶を行った。
『直近のチタンの概況について、中国で始まった在庫過多を受け、中国一国だけが勝ち組の状況にある。日本の金属チタンも中国に押されている。 チタンは輸出が65 %であり、中国と戦う必要があり、厳しい状況にある。 経済産業省2026年2月19日付「マテリアル(重要鉱物・部素材)分野の課題と検討の方向性」で、今後のロードマップの作成が示され、戦略17分野の中に「マテリアル(重要鉱物・部素材)」が成長分野として位置づけられている。 続いて、2026年4月21日付で作成した「日本成長戦略」では、2040年度までに官民合せて370兆円超の投資を目指す。その中で、革新的金属素材の例として航空機向けスポンジチタンが取り上げられている。 半導体、防衛産業、航空・宇宙、海洋、造船、マテリアルといった分野でチタンの需要はまだまだ広がるチャンスはある。チタン協会では需要開拓助成金もありますので、チャレンジいただき、今は潮目であり、4,5年耐える必要がありますが、変わっていくまで頑張りましょう。』とし、
乾杯の音頭を取られた。
写真下:八並洋二氏による、乾杯発声

【研修会参加者】
講演者:リオティントジャパン(株)
正会員:(株)大阪チタニウムテクノロジーズ、東邦チタニウム(株)、(株)神戸製鋼所 、日本製鉄(株)、大同特殊鋼(株)、住商メタレックス(株)、アルコニックス(株)、神鋼商事(株)、阪和興業(株)、伊藤忠丸紅鉄鋼(株)、愛知製鋼
賛助会員:(株)アロイ、(株)UEX、(株)SDC田中、(株)オーファ、北産業(株)、三興鋼材(株)神鋼鋼線、工業(株)、(株)JALUX、チハラ産業(株)、(株)東京チタニウム、トーホーテック(株)、富安(株)、(株)ナイカイアーキット、ニッセンファスニング(株)、日鉄工材(株)、(株)平井、宝永工業(株)、(株)ホリエ、(株)マエタルドゥ、森松T&S(株)、森村商事(株)
個人会員:エコソリューション・ジャパン(株)
コンサルタント、報道:日本金属通信社、ステンレスニュース社、ファスニングジャーナル、鉄鋼新聞社、産業新聞社及びアイアールユニバース)
及び事務局2名、総勢92名が参加した。
(IRUNIVERSE tetsukoFY)