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10th ISLC in Colombo #6:鉛の需要のピークはいつ迎えるのか 中国・インドの再生鉛市場と技術革新

2026/11/03 12:12 FREE
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10月26日から28日、スリランカ・コロンボにて「10th International Secondary Lead Conference」が開催された。同会議は約18年の歴史を持つ国際会議であり、使用済み鉛蓄電池(ULAB)の回収・輸送から製錬・精製、環境管理、安全衛生、国際規制まで、二次鉛産業を包括的に議論する場として発展してきた。

本報告では、2日目午前の第1セッションで発表された4つの講演内容を詳報する。

 

The prospect of peak lead usage as lead-batteries’ market losses cascade:Giles Lloyd氏 – Director, Bagillt Mineral Economics Ltd

Lloyd氏は冒頭、「代替電池は鉛蓄電池にとって現実の課題である」と説明。車両の電動化と他の電池への切り替えが、2040年までの鉛需給に及ぼす影響を示した。基準となるシナリオでは、鉛使用量は2033~37年の間に年間約1800万トンのピークを迎える。一方、廃電池などに由来する鉛スクラップの発生量は、需要のピークより遅い2038年に約1700万トンのピークを迎えると見込まれる。

使用中の電池に含まれる鉛は約4500万トンで、その約3分の2を自動車と電動自転車が占める。新車に使われる鉛蓄電池の採用が減っても、既存の自動車や電動自動車が走り続ける間は電池交換の需要が残る。この時間差を織り込むため、Lloyd氏は車種や動力源別の保有台数、車両寿命、鉛蓄電池の採用率を設定し、代替の進む速さが異なる三つのシナリオを比較した。

4輪以上の車両の新車搭載用電池に使われる鉛は、基準シナリオで2025~40年に年平均0.5%増と、直前の15年間の1.9%増から伸びが鈍る。40年の使用量は、代替が進まない場合と比べて年間65万トンと、28%少ない。用途別では、産業用トラックやフォークリフト向けが25年にピークを迎えたと推計した。電動自転車向けは中国以外での普及が当面需要を支えるものの、33年から減少に転じるとみる。

鉛スクラップは電池や車両が寿命を迎えてから発生するため、需要の伸びが鈍ってもリサイクル原料の発生量はしばらく増え続ける。基準シナリオでは、鉛使用量の伸びが年平均0.7%にとどまる一方、スクラップ発生量は1.3%増える。鉛使用量からスクラップ由来の再生鉛の供給量を差し引いた一次鉛の必要量は、年平均2.9%減少し、40年には約240万トンとなる見通しだ。

Lloyd氏は最後、「基準シナリオでは、使用中の鉛在庫は2037年に縮小に転じる」と述べて発表を締めくくった。

 

Changing market scenario in India and technological advancements:Vijay Pareek氏 – Executive Director, AADISHAKTI Green Metals

Pareek氏は冒頭、「インドはスクラップ経済から、再生原料を供給する経済へ移行している」と説明し、使用済み鉛蓄電池の回収・再資源化を巡る市場の変化を紹介した。

Pareek氏によると、インドでは500社以上が鉛のリサイクルを手掛けている。2022年の電池廃棄物管理規則を背景に、電池メーカーは使用済み製品の回収・再資源化に責任を負う。大手電池メーカーのAmara Raja Energy & Mobility Limitedは使用済み電池を回収し、再生鉛を電池製造に戻す仕組みを整えている。Pareek氏は、物品・サービス税(GST)の導入も正規ルートへの移行を促したと指摘。非公式部門の割合は約10年前の25~30%から、足元では5%未満に低下したという。

処理工程では電池の破砕・選別や構内搬送を自動化し、溶解条件や排ガスを管理する。工程をリアルタイムで監視することで、スクラップからの金属回収率を高め、スラグの発生や燃料・電力の消費を抑えられるという。搬送の機械化や局所排気の導入は、作業員の鉛曝露を減らすうえでも重要だ。Pareek氏は、こうした設備への投資が再生鉛の品質向上と作業環境の改善につながると強調した。

また、自社(AADISHAKTI Green Metals)の事例も紹介。インド西部と北部に計2カ所の工場を構え、合計10万トン超の鉛生産能力を持つとのことだ。使用済み電池は回収地点から最寄りの処理拠点に運び、環境・労働安全衛生の基準に沿って選別・解体する。回収した鉛とプラスチックは、電池などの原料として再利用できる。

Pareek氏は最後、「使用済み電池を効率よく回収してリサイクル拠点に運び、再び使える原料にすることがわれわれのビジョンだ」と述べて発表を締めくくった。

 

Breaking through the supply-demand mismatch: structural contradictions and global pathways for China’s secondary lead industry:Vera Cai氏 – Global Business Development Manager, Base Metals (Lead & Zinc), Shanghai Metals Market (SMM)

SMMのCai氏は冒頭、「中国の二次鉛産業では、処理能力とスクラップ供給に隔たりがある」と強調。設備増強が進む一方、原料となる使用済み鉛蓄電池の確保が追いついておらず、2026年上半期の中国の二次鉛生産量は前年同期比17%減の127万トンと、設備稼働率は36%にとどまったと説明した。

原料不足の背景には、使用済み電池の輸入制限に加え、国内での集荷競争がある。スクラップの一部は非公式な流通ルートに流れ、省ごとの許認可や物流条件の違いも地域間の価格差につながっている。製品の鉛価格が下落しても原料価格は下がりにくく、二次製錬事業者の採算を圧迫する。Cai氏は、銀やアンチモンなどの副産物を得られる一次製錬との競争も、二次鉛の生産を抑える要因に挙げた。

需要面では、自動車や電動二輪車といった従来の用途で、リチウムイオン電池やナトリウムイオン電池への代替が進むとみる。一方、鉛蓄電池には既存の回収網や成熟したリサイクル技術があり、データセンターのバックアップ電源などでは引き続き需要が見込まれる。太陽光発電と組み合わせる蓄電用途では、鉛カーボン電池の需要拡大にも言及した。

中国は国内の供給不足を補うため、精製鉛などの輸入を増やしている。中国企業はタイやマレーシアなどの東南アジアに加え、アフリカや中東でも処理設備の新設や現地企業との提携を模索している。ただ、海外で事業を軌道に乗せるには、現地の規制に対応し、原料を安定して調達できる取引先を開拓する必要があると指摘した。

Cai氏は各国の処理能力や生産量、政策に関する情報を持ち寄ることで、設備や技術を持つ中国企業と海外の事業者との協力につなげたいとした。最後に「業界データを持ち寄り、需給の不一致を協業の機会に変えていきたい」と述べて発表を締めくくった。

 

From refining kettle to ball mill in one step: cutting CAPEX, dross losses and on‑site lead emissions via GME direct lead cylinder casting machine:Maurizio Mori氏 – Sales Manager, Gianni Mori Engineering S.R.L

Mori氏は冒頭、「精製した鉛を、電池メーカーがそのまま使える形に鋳造すれば、再溶解の工程を省ける」と説明。その後、Gianni Mori Engineering S.R.Lが開発した小型円柱状の鉛を製造する鋳造機「LCC」は、鉛蓄電池のリサイクル工程と電池製造工程をつなぎ、エネルギー消費と鉛の損失を抑える装置について紹介した。

従来、リサイクル工場で精製した鉛はインゴットに鋳造し、電池工場へ出荷していた。電池メーカーはインゴットを400~450度で再溶解し、鉛粉を製造するボールミルに投入できる小片に鋳造し直す。Mori氏によると、再溶解に必要な熱量は鉛1トン当たり40~80キロワット時相当で、再溶解・再鋳造に伴う鉛の損失は0.5~1%に上る。

LCCは精製釜に直結し、溶融鉛を水冷式の金型に流し込んで円柱状に成形する。寸法は、納入先のボールミルの投入仕様に合わせて変更できる。装置の設置電力は3~5キロワットで、運転に必要な作業員は1人。Mori氏が紹介した顧客の設備は約3年間稼働しており、毎分約900個を生産するという。電池メーカー側では再溶解炉や再鋳造設備への投資を抑えられ、燃料や耐火材、保守にかかる費用も削減できる。再溶解時の排気を捕集・処理する設備も省けるとした。このほか、画像認識AIと近赤外線を組み合わせ、鉛蓄電池の処理ラインに混入したリチウム電池を投入前に検出するシステムも紹介。発火や爆発のリスクを抑え、作業員の安全を確保する狙いだ。鋳造機については、電池工場が再溶解を省いて得るコスト削減効果の一部を、円柱状の鉛の販売価格に上乗せできる可能性にも触れた。

Mori氏は最後、「溶かすのは一度、鋳造も一度。この工程で無駄をなくす」と述べて発表を締めくくった。

 

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(IRuniverse Midori Fushimi)

 

Midori Fushimi

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