新着情報

2024/05/02   中国の三元系、LF...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   東京製鐵:省エネ法...
2024/05/02   住友商事:アンバト...
2024/05/02   加パンアメリカンシ...
2024/05/02   6月19日‐20日...
2024/05/02   チタン:貿易統計と...
2024/05/02   EVバッテリーリサ...
2024/05/02   原油価格の動向(5/1)
2024/05/02   カザフスタン、金属...
2024/05/02   ゲルマニウム価格は...
2024/05/02   中国政府 再生資源...
2024/05/02   中国 自動車業界で...
2024/05/02   バナジウム電池は重...
2024/05/02   中国の原子力エネル...
2024/05/02   ローツェ(6323...
2024/05/02   MARKET TA...
2024/05/02   二次電池輸出入Re...
2024/05/02   炭酸リチウム輸入R...
2024/05/02   (速報)2024年...

2022年度第3四半期特殊鋼鋼材需要見通し @経産省 第1報

 経済産業省は2022年10月14日、2022年度第3四半期(2022年10-12月期)鋼材需要見通しを発表し、その中で特殊鋼鋼材需要見通しでは、国内需要306万トン、輸出118万トン、特殊鋼鋼材計で424万トン、前年同期(448万トン)比では、5.4 %減となる見通しとした。見通しの根拠となるデータを基に、独自に整理してみた。

 

 経済産業省は、需要見通しについては、半導体等の部品不足、ロシアによるウクライナ侵攻の影響や為替の動向等、先行き不透明な状況は継続しており、“需要の下ぶれリスクには十分注意する必要がある”とした。

 

 事実、これまでも、自動車の生産回復の遅れにより、見込みでは下方修正してきた。

 

 2022年7月14に第2四半期見通しを発表した際に、2022年4月12日に発表した第1四半期(2022年4-6月期)需要見通しから、国内需要(313万トン)は17万トン、輸出(120万トン)は2万トン、計19万トン下方修正され、見込みでは433万トンから414万トンへの下方修正となった。

 

 今回も、特殊鋼鋼材における前期実績見込(第2四半期実績見込)を、2022年7月14日に発表した第2四半期(2022年7-9月期)需要見通しから、国内向け(310万トン⇒288万トン)は22万トン、輸出(124万トン⇒112万トン)は12万トン、計34万トンが大幅下方修正され、434万トンから400万トンへの見直しとなった。自動車の生産回復の遅れが大きく影響した模様。下方修正した前期実績見込比では、第3四半期特殊鋼鋼材需要見通しは、5.9 %増となった。

 

 

2022年度第3四半期(10-12月期)鋼材需要見通し

表

 

 

 10月14日の経済産業省による発表は下記をご覧ください。

 → 20223q.pdf (meti.go.jp)

 

 特殊鋼の第3四半期需要見通しを決定した詳細情報を、経産省製造産業局金属課の担当者より入手し、アイアールユニバース独自で整理した。

 

 

グラフ

図1 四輪車生産台数と、特殊鋼鋼材(最終製品)の生産量推移

 

 

 図1に、四輪車生産台数(青色棒グラフ)と、特殊鋼鋼材(最終製品)の生産量推移(実績見込み及び見通しを含む。)を示す。特殊鋼鋼材の生産量は自動車の生産量に大きく左右されるため、需要見通しは、四輪車生産台数の動向を参考にして決定される。

 

 2022年度2四半期(7-9月期)特殊鋼需要見通しを発表した2022年7月14日の時点では、自動車の生産量の挽回を期待して四輪車生産台数を491.4万台としていた第1四半期(4-6月期)見通しから見込みを451.1万台に減少するとして、第1四半期(4-6月期)特殊鋼鋼材需要見込みを414万トンに19万トン下方修正した。4-6月期四輪車生産台数実績では更に減少し、445.2万台となったが、特殊鋼鋼材の第1四半期実績は見込みを僅かに上回り、417.4万トンとなった。

 

 2022年7-9月期においては、四輪自動車の生産台数を見通しでは500万台を超える512.8万台まで回復するとしたが、10月14日に発表した見込みでは480.9万台に下方修正し、特殊鋼鋼材の2022年度第2四半期特殊鋼需要見通し434万トンから、見込みを400万トンとした。

 

 2022年10-12期においては、四輪自動車の生産台数を見通しではやや回復するとして492.9万トンとし、特殊鋼鋼材の2022年度第3四半期特殊鋼需要見通しを424万トンとした。

 

 

<鋼材需要見通し>

 国内需要見通しは、建設部門では土木部門の季節変動により、前期実績見込比では増加する。建築部門では、先行きの不透明さにより中小案件が引き続き弱含んでいることもあり、前期実績見込比で減少する見通し。

 

 製造業部門では、自動車の生産量が緩やかに回復することが期待され、他の製造業部門についても国内の設備投資の回復により堅調な需要が見込まれることから、前期実績見込み比では増加する見通し。

 

 輸出見通しは、東南アジアを中心に自動車等の生産の回復による需要増が期待され、前期実績見込比では増加する見通し。

 

 

<鋼材需要見通し>表A 2022年度第3四半期鋼材需要見通しの、2021年度及び2020年度同期比との比較

 2022年度第3四半期(2022年10-12月期)の鋼材計需要量(普通鋼鋼材+特殊鋼鋼材)は、2,065万トンとなる見通し。前年同期2,146万トンとの比較では3.8 %の減少。新型コロナ感染症の影響で低水準だった2020年同期2,046との比較では0.9 %増となる。米中貿易摩擦の影響を受けた2019年同期比(2,163万トン)では4.5 %減。

 

 

<特殊鋼鋼材需要見通し>表A 2022年度第3四半期鋼材需要見通しの、2021年度、2020年度及び2019年度同期比との比較

 2022年度第3 四半期(2022年10-12月期)の特殊鋼鋼材需要量は、424万トンとなる見通し。前年同期448万トンとの比較では5.4 %の減少。新型コロナ感染症の影響で低水準だった2020年同期421万トンとの比較では0.7 %増加。米中貿易摩擦の影響を受けた2019年同期(456万トン)比では7.0 %減となる。国内及び輸出需要見通しは2019年度同期を超えない。

 

 

表A:2022年度第3四半期鋼材需要見通しの、2021年度、2020年度及び2019年度同期比との比較

表

 

 

① 粗鋼需要量

 2022年度第3四半期の粗鋼需要量は、2,255万トンとなる見通し。前期実績見込み2,244万トンとの比較では0.5%と横ばいの見通し。前年同期比2,420万トン比では6.8 %減。

 

 

グラフ

図2 鋼材生産量、輸出及び輸入量の四半推移

 

 

② 鋼材計国内需要量 表A参照

・鋼材計国内需要は、1,445万トンの見通し。

 前期実績見込み(1,407万トン:見通しでは1,422万トン)比では、2.7 %増(2021年同期実績:1,451、2020年同期実績:1,438万トン、2019年同期実績:1,483万トン)

 

・特殊鋼鋼材国内需要は、306万トンの見通し。

 前期実績見込み(288万トン:見通しでは310万トン)比では、6.1 %増(2021年同期実績:321万トン、2020年同期実績:315万トン、2019年同期実績:322万トン)

 

 図3に特殊鋼鋼材の輸入量推移を示す。特殊鋼鋼材の輸入量は減少傾向を示している。内、韓国及び中国からの輸入量推移を併せて示すが、2020年度以降、中国からの輸入量が減少し、2021年度第2四半期より、5万トンを下回っていることによる。

 

 

グラフ

図3 特殊鋼鋼材 輸入量推移

 

 

③ 鋼材計輸出 表A参照

鋼材計輸出は620万トンと、前年同期(695万トン)比では、10.8 %減、2020年同期(608万トン)比では2.0 %増。(2019年同期実績:680万トン)

前期実績見込み(607万トン:見通しでは674万トン)比では、4.7 %減となる。

 

 

<主要産業別コメント(表B 普通鋼鋼材 部門別国内消費量)>

 7月に経産省が発表した2022年度2四半期の見通し(1,112万トン)に比べ、実績見込みでは、建設部門の建築、製造業部門の電気機械、二次製品及び容器は上方修正されたが、他は下方修正された。

 

 2022年度第3四半期見通しにおいて、建築、二次製品及び容器は2Q実績見込を下回る予想。

 

 

表B:普通鋼鋼材 部門別国内消費量  (単位:千トン)

表

 

 

<特殊鋼需要見通し総括>表C:

 2022年7月14日の発表では,四輪車の4-6月期生産台数見込を451.1万台とした。実績では445.2万台となった。

 

 2022年4-6月期の特殊鋼熱間圧延鋼材生産量見込を、月平均で138万トンに下方修正した。

 

 実績では月平均139.1万トンとなった。

 

 2022年7-9月期の特殊鋼熱間圧延鋼材生産量見通しは、月平均で144.7万トンと予想。

 

 2022年7-9月期の特殊鋼熱間圧延鋼材生産量見込を、月平均で133.5万トンと下方修正した。

 

 

表C-2022年1~3月 特殊鋼需要見通し(鋼種別、国内、輸出向け内訳)

月平均 単位 トン

表

★7-9月期実績見込みにおいて、7月に発表された7-9月期需要見通しから下方修正された予想値を赤字で示した。輸出のその他鋼を除く、すべての鋼種において下方修正された。

 

 

 今回の需要見通しの基となる、需要環境については、第2報で詳細に説明する。

 

 

(IRUNIVERSE tetsukoFY)

 

 

 

関連記事

関連記事をもっと見る