コバルト市場近況2023#6 低迷する中国市場と粘る国際市場
中国市場ではサマリウムコバルト磁石や合金、超硬合金を取り扱う事業者は今回様子見に回っている。
四酸化コバルト 73.5%minの価格は RMB160‑165/kg (USD23.2‑23.9/kg) と僅かながら価格は低下気味となっている。サプライヤー側は値を下げるのを避けつつあったが、その影響はじわじわと現れつつあると言って良い。
硫酸コバルト 20.5%minについてもRMB34,000-36,000/t (USD4,932-5,222/t)と先月より大幅に値を下げている事からこちらもニーズが滞っている状況だ。。
中国でのNCM523プリカーサの取引価格はRMB80,000-83,000/t (USD11,605-12,040/t)とこちらも先月比で大幅に下落。
中国国内市場におけるコバルトはまだまだ供給過多と言える状況だ。
硫酸コバルト(20.5%min China)(RMB/ton) 3ヶ月の値動き
NCM523プリカーサ(Delivered China)(RMB/ton) 3ヶ月の値動き
国際市場のコバルトの値動きは少々違う傾向を見せている。
ヨーロッパのコバルト金属 99.8%minは16.3〜16.5米ドル/ポンドとこちらは先月と同じ様なレンジで取引が成立している。
また北米のコバルト金属99.8%minは17.2〜 17.4米ドル/ポンドとこちらも一ヶ月前とそう変わらない値段帯のまま推移している。
国際市場の値動きを見る限りでは、しばらく硬直気味の傾向が続くと予想される。
LMEコバルト(US$/ton) 3ヶ月の値動き
LGコバルト(Co 99.3%)($/LB) 3ヶ月の値動き
HGコバルト(Co 99.3%)($/LB) 3ヶ月の値動き
先月以上に市場の傾向は二極化が進んでおり、下がりつつある中国市場と比較し堅調な取引を示す国際市場の色が対照的に出た形である。
値下がる見方があるとはいえ、中国市場に対する確実な懸念よりは国際市場の方が比較的安定している予想となっている。
どのみち革新的なニーズを訴求できる要素が来ない事には、市場に大きな値動きは現れないのが今の悩みの種だろう。
コバルト関連のニュース
カナダのケベック州にてコバルト並びにニッケルについて大きな動きがあった。
カナダの鉱床探索企業であるQuébec Nickel Corp.はケベック州とオンタリオ州にまたがるAbitibi Greenstone Belt(アビディビ・グリーンストーン・ベルト)にて250m以上の超苦鉄質岩(ちょうくてつしつがん)を掘削したと発表。
そこに含有されているのは1.44%の割合のニッケル、1.49%の銅、461ppmのコバルト、および2.79グラム/トンのプラチナ-パラジウム-金であると確認した
これに合わせて鉱業専門家であるRichard氏を暫定CEOへと任命し、現CEOのDavid氏は辞任後執行会長へと異動するようだ。
同社はますます同地域の金属探索に力を入れていくものと予想される。
(IRuniverse Ryuji Ichimura)
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