リチウム市場近況#5 急速な反発をみせる中国国内と苦戦する国際市場
今週はリチウムについての市場動向と関連ニュースを紹介する。
5月22日から26日にかけてのリチウムの市場価格について中国市場と国際市場の動きを取り上げてみる。中国市場では、炭酸リチウム 99%minや99.5%minの価格はやや上昇気味となっている。
生産者側が販売量を抑えた結果としてユーザー側が値上げされてでも原料購入に踏み切った事業があり、ある程度の品目において若干の値上がり傾向が見られる。
炭酸リチウム 99%minはRMB278,000‑283,000/t(USD22,485‑23,210/t)という価格となり 、水酸化リチウム一水和物 56.5%min、K 0.01%min、Ca 0.015%minはRMB 290,000-295,000/t(USD41,049-41,757/t)という値動きとなり前回のレポートから全体的に価格の底上げが起きている。
中国の炭酸リチウム 99.5%minはRMB295,000-300,000/t(USD41,757-42,465/t)となっており、関連製品も含めてどの品目もその大小はあれど前回のレポートより軒並みかなりの値上がりを見せている。
(炭酸リチウム 99% china RMB/mt)3ヶ月の価格推移)
(水酸化リチウム56.5%min Devlivered China RMB/mt)3ヶ月の価格推移
(炭酸リチウム(99.5% China RMB/mt)3ヶ月の価格推移
(炭酸リチウム(99.5%min Delivered EU USD/kg)3ヶ月の価格推移
国際市場においてはスポジュメン(Li2O 6%min CIF 中国)の価格もUSD4,080-4,100/t(CIF China)と前回の価格より若干の値下がりを見せている。
ヨーロッパ納入の炭酸リチウム99.5%の価格はUSD52.5‑53.0/kgとこちらは大幅に下落しており、米国も53.0~ 53.5 USD/kgと安値一辺倒の値動きだ。
南米市場の炭酸リチウムも99.5%minにおいてUSD49.0-49.3/kgという価格となり、韓国は水酸化リチウム 56.5%min 磁性物質 0.0001%maxにおいてUSD63.0‑64.0/kgという価格で取引が進んでいる。
ある程度の価格上昇から若干の好況とも言える中国国内市場の動向とは対照的に、国際市場の値動きは今回非常に冷ややかな状況となってしまっている。
現状まだ世界的にリチウム需要が活性化していない傾向が見えており、おおよそ回復の見込みは薄いという予想が往々にして立てられている。
これ以上の価格下落をどこまで食い止めることは出来るのか、市場の動向は緊張感が高まる時期となりそうである。
(IRuniverse Ryuji Ichimura)
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