エンプラス(6961) 24/3Q1決算メモ 生成AI関連で暴騰、現在急落でニュートラル
24/3期光通信レンズ伸長も半導体不振で0.3%増収20.6%営利減予想、25/3期収益伸長へ
株価8760円(9/20) 時価総額852億円 発行済株9732千株
PER(24/3DO予:15.5X)PBR(1.59X) 配当60.00円 配当利回り:0.7%
要約
・24/3Q1は4.0%減収、27.9%営業減益と光通信向けレンズ好調も半導体部門の低迷が響く
・24/3期全体予想変更なく0.6%増収、20.3%経常増益予想も半導体減額、光デバイス増額
・25/3期はデータセンタ向けの拡大が半導体、光通信デバイスの需要を押し上げ収益上伸へ
24/3Q1は4.0%減収、27.9%営業減益と光通信向けレンズ好調も半導体部門の低迷が響く
24/3Q1業績は売上97.15億円(4.0%減)、営業利益14.12億円(27.9%減)、経常利益16.81億円(21.4%減)、税引利益7.35億円(51.0%減)と、光通信向けレンズ好調も半導体不振が影響した。
部門別では半導体事業が売上高46.74億円(17.5%減)、営利8.52億円(41.4%減)と、車載用途は好調も、サーバー、モバイル用途が低迷、減収効果から大幅収益悪化に。
ライフサイエンスは売上高6.08億円(23.0%減)、総利益2.19億円(39.0%減)、販管費5.75億円(23.3%増)、営業損失3.56億円(2.49億円悪化)と、遺伝子検査用製品がユーザーの在庫調整で売上が低迷、先行投資負担で販管費が増加し、赤字拡大に。
エナジーセービング事業は売上高29.89億円(9.8%増)、営利1.33億円(47.5%減)と自動車生産の回復で売上増も、試作関連金型製品特需が減少、材料高、MIX悪化などで大幅減益に。
一方、デジタルコミュニケーション事業は売上高14.43億円(53.5%増)、営利7.82億円(2.2倍)と収益伸長に。部門別でLED用拡散レンズは4.16億円(19.8%減)とLCDTVの低迷継続で減少が継続、これをAI用途用の等のハイエンド光通信用トランシーバ光学レンズ中心に光通信関連製品の売上10.26億円(2.4倍)で補い、大幅に収益を伸ばした。
全体として経常利益では4.57億円の減益となったが、売上減影響が2.5億円、販管費増4.0億円(人件費増1.9億円、研究開発費増0.4億円など)の減益要因を原価率改善1.1億円、営業外の増加0.8億円で埋められない形に。なお期中レートが138.11円と計画比9円円安となっており、四半期では3.4億円程度円安メリットを受けているとみられる。
24/3期全体予想変更なく0.6%増収、20.3%経常増益予想も半導体減額、光デバイス増額
24/3期会社予想は売上高425億円(0.6%増)、営業利益70億円(20.6%減)、経常利益70億円(20.3%減)、税引利益50億円(8.2%増)を変更していないが、部門別予想を見直した。
部門別に半導体事業が売上高208億円(期初計画比18億円減額、11.1%減)、車載用途は好調も、サーバー、モバイル用途が低迷続く見通し。モバイルは当面不透明、サーバー用はQ2にボトムも、Q3は横ばい、Q4から本格回復するとみている。なお同社はメモリ向けバーンインソケットを手掛けておらず、メモリ不振の直接の影響はなく、またAMD向けが強くインテル向けの影響も軽微な点から同業他社よりも減収幅は小さい見通し。エナジーセービング事業は売上高129億円(同1億円増額、8.1%増)と自動車生産の回復で売上増、円安もあり多少増額。ライフサイエンスは売上高28億円(同5億円減額、9.4%減)と、引き続き在庫調整が長引き減額、今後、デバイス供給に軸足を置く形で損益分岐点を引き下げる方針を明言した。一方、デジタルコミュニケーション事業は売上高60億円(同22億円増額、58.7%増)と大幅増額に。部門別でLED用拡散レンズは低迷続くが、増額分はほぼ光通信用デバイスとみられる。主たる製品はパラレル通信向けレンズアレイと推定され、複数の光ファイバーを集光・拡散させるためのレンズ。1つの基板上に集積された製品で、パラレル通信では複数のデータを同時に送信・受信するため、複数の光ファイバーを同時に接続する必要があり、パラレル通信向けレンズアレイは、この複数の光ファイバーを効率的に接続するために使用される。パラレルレンズアレイは、データセンタの様々なアプサーバー間の通信、ストレージデバイスとの通信、クラウドコンピューティングのアプリケーションなど、多様な用途に使用される。AI用途は高付加価値でシェアも高く、特定ユーザー向けが大きく伸びているが、増産体制も引き続き実行中で売上拡大に対応できるとしている。
現状、半導体向けなどは多少回復が遅れるとみられるが、為替が円安に推移(通期で1$=130円想定、1円で年間1.5億円の営業利益増額要因)しており、加えて収益性が非常に高い光通信用光学レンズの伸長で全体の総利益率も低下しないとみられ、全体として会社想定並みの収益が見込まれる。
25/3期はデータセンタ向けの拡大が半導体、光通信デバイスの需要を押し上げ収益上伸へ
25/3期は半導体機器がロジック向けの回復、車載向けの順調な拡大に加え、生成AI向けなどのGPU向けなどでも新規需要が期待され、半導体事業は他社比較で回復が加速、同社収益の回復を牽引しよう。加えてデジタルコミュニケーション事業は引き続き光通信用光学デバイスの伸長が続く見通しで、LCD用拡散レンズの伸び悩みの中で同事業の収益性がMIX良化で収益寄与が高まろう。エナジーセービング事業はEV向けにエンプラギアの拡大が期待されるが、より高精度化、静寂化などが要求され、高付加価値化で収益性の改善が多少進むとみられる。ライフサイエンスはソリューション事業について見直し、デバイス供給に軸足を移し、損益分岐点を引き下げ、営業黒字化を目指すとしているが、黒字転換は26/3期以降にずれ込むと見られる。
全体として25/3期は半導体事業の回復、デジタルコミュニケーションの拡大が牽引、収益の拡大が期待され、26/3期には会社側が標榜するエッセンシャル領域の事業に注力した成果が表れ、15/3期の営業利益107.8億円を超える利益まで拡大が期待される。
株価は生成AI向けに光通信デバイスの伸長が見込めるとの発言で7/28決算発表後、生成AIの話題だけで5080円から株価が暴騰、9/11には11990円(PER21.1倍)まで駆け上り、その後値を下げ、本日急落し8760円まで下落した。現状、会社予想EPS566.74円に対しPER15.4倍はプライム電機平均PER19.8倍に対し多少割安感がある。但し業績的には24/3期営業減益予想に変化はなく、為替の円安分を考慮すると実質は減額イメージであり、25/3期には大幅収益回復、26/3期には14/3期の営業利益123.4億円を目指す動きを期待するものの、当面はニュートラルとして考える。
(H.Mirai)
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