銅スクラップ輸出入Report #92輸出 中国に続き台湾と韓国向けの輸出も増加中
日本からの銅スクラップ輸出は、2023年年末に向けて堅調に推移している。10月も3万トンの高い水準の輸出となった。これまで最大輸出先の中国向けの輸出の伸びがけん引していたが、ここに来て韓国や台湾向けの輸出も増加基調に転じてきた。
【1】銅スクラップ輸出概況
財務省の貿易統計によると、2023年10月の日本からの銅スクラップ輸出量は3万2,007トン、8か月連続の3万トンを超えとなった。前年同月比25.2%増加し、4か月連続のプラスとなった。2020年後半から21年にかけても3万トンを超える月が12か月続いたが、それ以来の好調ぶりである。
10月の同輸出平均単価は、キロあたり940円、前月より14円安だった。6か月ぶりに下落したが、まだ1988年以降の同統計の高値圏で推移している。
2023年1-10月の同累計輸出量は、29万7,642トン、前年比16.6%増加した。近年では、2021年に次ぐ多い輸出量となっている。
【2】銅スクラップ輸出先
2023年の同輸出増加をけん引しているのは、輸出量全体の4分の3を占める中国向けである。2021年をピークに昨年後半まで中国向けの輸出量は減少していたが、昨年後半から増加基調に転じていた。ただ、中国向け以外の輸出は、なかなか伸びて来なかった。
しかし、昨年末から台湾向けの輸出が前年同月実績を上回り始めて、中国に続いて増加基調に転じた。台湾向けは、今回10月まで輸出量の前年同月比が11か月連続プラスとなった。
さらに、韓国向けの輸出も急回復している。こちらは5月以降、今回10月まで6か月連続で前年同月比プラスとなっている。
台湾向けも韓国向けも中国向けの同輸出量と比べて1桁、2桁少ないが、それでも銅スクラップの需要が2年ぶりに再び本格的に戻ってきている。
2023年10月の銅スクラップの主な輸出先別の量とキロ当たりの平均単価と前月差は以下である。
中国 2万4,035トン1.060円(21円安)
韓国 1,935トン1,091円(9円安)
香港 191トン 423円(15円安)
台湾 433トン 702円(19円安)
シンガポール 340トン 473円(26円高)
マレーシア 3,218トン 371円(11円安)
タイ 1,800トン 394円(43円安)
【3】税関別輸出量
2023年10月の主な税関の輸出量とキロ当たりの平均輸出額は以下の通り。
横浜 1万4,995トン 907円
大阪 4,090トン 909円
名古屋 2,727トン1,030円
東京 2,986トン1,037円
神戸 1,515トン1,011円
門司 1,631トン 956円
博多 1,764トン 926円
仙台塩釜 578トン 798円
千葉 252トン 892円
伏木 257トン 907円
水島 599トン1,114円
広島 323トン 876円
尼崎 101トン1,107円
※記事内のグラフ・図表は、MIRU.comにて作成
(IRUNIVERSE/ K.AKIYAMA)
関連記事
- 2025/09/10 米景気不安などでLME銅小反落、円高で国内銅建値10円引き下げの1,500円に
- 2025/09/10 フリーポートのグラスバーグ鉱山 事故で一時的に操業停止
- 2025/09/09 英アングロと加テックが合併か 実現すれば巨大企業誕生、他社からの買収対象になり疲弊
- 2025/09/09 (速報)国内携帯電話出荷 2025年7月 ついに月出荷台数20万台割る
- 2025/09/09 LME亜鉛横ばいの中、円高を受け国内建値3円引き下げ、487円に
- 2025/09/08 海外企業の6月期決算②中国企業、最悪期は脱したか 鉄鋼・リチウム低迷も赤字縮小
- 2025/09/08 パナソニックとJX金属、銅スクラップの再資源化と再利用スキーム運用開始へ着手
- 2025/09/08 LME Weekly 2025年9月1日-5日 Znのぞいて揃って下落 上海株安を受けたCu軟調に連れて
- 2025/09/07 COMEX銅在庫増加の裏側 高値掴み在庫の逃げ場と米需要の停滞 仮説的考察
- 2025/09/06 9月の世界経済 さえない、米雇用悪化が重荷・江守氏 材料不足で金銅も足踏みか