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日本ピラー工業(6490) 24/3H1決算メモ ポジティブ継続

24/3期M&Aで17%増収も償却増等で9.7%営利減予想も増額期待、25/3期再度最高益へ

株価4285円(12/5) 時価総額 1073億円   発行済株25042千株 

PER(24/3DO予:11.2X)PBR(1.57X) 配当(24/3予)120円 配当性向2.8%

 

要約

・24/3H1は23.8%増収1.2%営利増と部材高もM&A効果で上期売上、営利過去最高更新

・24/3期M&Aで17%増収も償却増等で9.7%営利減予想も増額期待

・新中計として26/3期に売上高660億円、営業利益170億円目標は上振れ期待

 

24/3H1は23.8%増収1.2%営利増と部材高もM&A効果で上期売上、営利過去最高更新

 

 流体制御関連の総合シールメーカー。売上の75%を占めるふっ素関連(ピラフロン)中心に半導体製造装置向けフッ素樹脂製品に強味。24/3H1は売上高280.72億円(23.8%増)、営業利益68.97億円(1.2%増)、経常利益74.67億円(2.4%増)、税引利益51.69億円(4.5%減)、受注247.54億円(17.3%減)、受注残198.03億円(14.2%減)となった。受注一服も、豊富受注残の消化が進み、半導体向け堅調持続し、タンケンシールセーコウ(以下TS)のM&A効果もあり売上が拡大、利益は部材高影響も、売上、営業利益で上期として過去最高額を更新した。

 

 セグメント別では電子機器関連が売上高197.8億円(11.4%増)、営利56.57億円(10.7%減)、受注163.85億円(28.6%減)、受注残高149.85億円(23.5%減)に。半導体製造装置向けフッ素樹脂製品群の受注が半導体設備投資一服で急減も、豊富な受注案から新三田工場での能力増強効果で受注残高の消化が進み売上が増加、現状、受注大幅減も受注残高が多くフル生産が続いている。利益面では値上げ効果があるものの材料費アップ影響が大きく、営業利益率が31.6%から3ポイント低下し28.6%となった。

 

 産業機器関連は売上高82.71億円(44.1%増)、営利12.25億円(3.6%増)、受注83.69億円(31.3%増)、受注残48.18億円(48.7%増)。半導体向けメカニカルシール等は一服も、石油プラント向け、エネルギー関連向けが堅調に推移、加えてTS買収効果(半期売上で22.5億円相当、98%が国内向け)で国内が72.04億円(62.9%増)と大幅増に。但しこれを除いても49.54億円(3.8%増)となっている。利益面では暖簾償却費(4.0億円)増などが影響、一時費用を除くと37%増益となった模様で、実質収益性は落ちていない。

 

 市場別売上(単独ベース)では、半導体・液晶向けが167.75億円(5.2%増)と続伸、電子機器部門と産業機器のメカニカルシールが洗浄装置向け等で堅調、CMP向けは出荷調整で一服も増収を確保した。化学分野は22.95億円(0.5%減)と海外化学プラント向け定修案件減で伸び悩む。石油・鉄鋼・輸送向けは18.49億円(14.7%増)と国内外のメンテナンス需要、安全化対策案件機器の受注が寄与した。土木・建築向けは15.33億円(74.0%増)と半導体・医療施設向け免震装置が大きく貢献した。電力・エネルギーも9.52億円(52.1%増)で国内定修需要獲得、メカニカルシール予備品等の増加が寄与した。

 

 利益の増減要因では増収効果で33億円(電子機器の値上げ効果10億円含む)、為替で3.5億円の増益要因に対し、原材料高、製造経費増、MIX悪化などコスト増9億円、M&A等の諸経費増(暖簾償却4億円、アドバイザー報酬・手数料1億円)、人件費増5億円、旅費1億円、基幹システム1.4億円など販売管理費増15億円などで利益の伸びが抑えられた。

 

 

24/3期M&Aで17%増収も償却増等で9.7%営利減予想も増額期待

 

 24/3期予想に変更はなく、売上高570億円(17.0%増)、営利125億円(9.7%減)、経常利益125億円(11.6%減)、税引利益85億円(18.5%減)予想を据え置いた。売上では産業機器事業でTS連結による売上増が46~47億円と大きいがこれを除いても7%増収となる。利益面では半導体製造装置向け一服でMIX悪化、円安効果一巡、償却負担増(43.3%増、8.46億円増の28億円)などで減益予想に。

 

 事業別では電子機器関連を売上高410億円(期初計画比変更無し11.4%増)、営利105億円(同5億円減額、10.7%減)予想。半導体製造装置業界では洗浄装置が堅調、同社最大ユーザーのスクリーンのSPE収益見通しは4160億円(60億円増額、12.1%増)と若干増額されており、同社もその恩恵を受けるとみられる。なお荏原のCMP1170億円(34.7%減予想)、アプライドマテリアルズ向けもCMP一服でCMP向けは低迷しよう。一方、国内での半導体、半導体関連材料メーカーの大型設備投資が相次ぎ、免震装置などの拡大の寄与が続こう。利益面では材料高、大型設備実行での下期にかけて償却負担増があり営業減益を見込むも、実質は大きな落ち込みはなく、円安効果もあり多少の増額が見込める。

 

 産業機器関連事業は売上高160億円(同変更ナシ35.1%増)、営利20億円(同5億円増額、63.3%増)予想。TSがフル寄与、(売上寄与40億円程度が46億円~47億円に増額、利益寄与も暖簾分を控除し上期収支均衡予想が4億円程度計上し暖簾分を入れても上期収支均衡となった模様)、この上期分の上乗せに加え、高採算の発電所向け大型メンテナンス案件の寄与もあり大幅増益を見込む。なお上期にTSが大きく利益を獲得、下期も継続見通しで、利益面で増額が期待される。

 

 全体を通じ利益面の増減要因(138.42億円→125.0億円)では販売増の寄与を61億円(期初想定比25億円増額)、為替影響3.5億円(同3.5億円増)、材料費等コスト増24億円(同6億円削減)、製造経費増27億円(17億円負担増額)、販管費増影響26.5億円(17.5億円負担増)予想としている。増収効果については下期に価格転嫁がさらに進む見通しやTSの想定を上回る効果がある。材料費等については多少、材料費が落ち着いてきた効果、製造経費は材料不足による稼働率低下影響が利益を圧迫するとしている。販売管理費増は人件費増やその他経費増、暖簾分が確定した事での負担増などがある。

 

 現状、TS社の下期の利益寄与が反映していないと見られること、為替差益も上期分に加え下期も発生するとみられることなど、全体として利益の増額が見込まれる。

 

 

新中計で26/3期に売上高660億円、営業利益170億円目標は上振れ期待

 

 同社は新中期経営計画を策定、26/3期に売上高660億円、営業利益170億円を目標としている。事業別では電子機器事業が売上高480億円、営利145億円、産業機器事業が売上高180億円、営利25億円を目指す。

 

 現状、半導体向け受注はメモリ中心に調整局面が続くものの、洗浄装置向け等は堅調に推移、2024年年明けにはロジック中心に回復が期待され、25/3期は国内半導体工場新設投資も拡大が相次ぐ。さらに昨今のHBM等の投資が本格拡大しCMPが多用される見通し。ハイブリッド接合は異種材料(Cuと絶縁膜)が同一平面上に存在するダマシン面同士をプラズマ洗浄で表面処理し接合するが、この接合技術はダマシン面同士を接続するため、最終面を加工する化学機械研磨(CMP)技術がその接合のYieldを決める主な要因となる。HBMは当面年率最低で30%成長予想でCMP関連受注も急回復しよう。また車載関連はADAS向けフッ素樹脂基板などが次世代ミリ波対応で再拡大が見込まれる。このため25/3期は利益で再度最高益更新、続く26/3期も半導体の微細化で洗浄装置の重要性が増す他、半導体の3D化でHBM以外でもCMP工程が伸長見通しで荏原に加えアプライドマテリアルズ向け等もシェア拡大で大幅増が見込める。産業機器はM&Aによるシナジー効果、また2次電池製造に使われる精製装置用シールや攪拌機、さらに水素製造向けなど新製品投入も期待される。26/3期も半導体事業中心に増収増益が続く見通しで、新中期経営計画は前回中計同様に上振れ達成が期待される。

 

 株価は24/3H1決算を受け一旦上昇も長続きせず4200円台に戻った格好。会社予想EPS361円に対し11.9倍は、バルカー12.9倍、イーグル工業11.2倍、などと似通った水準で、プライム機械平均PER15.8倍に対し割安感がある。24/3期は半導体向けの一服で収益伸び悩みも、25/3期には再度最高益更新が見込まれ、引続きポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)
 
 
 

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