米GM、バッテリー投資加速 カナダ社とリチウム合弁、素材技術にも出資
米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)が車載バッテリー材料の確保を急いでいる。10月16日にはカナダのリチウム会社との合弁設立や、先端素材会社への投資を発表。10月17日には、「他の重要鉱物の確保にも興味がある」との経営陣の話も伝わった。米中対立が長期化する中、北米を中心としたサプライチェーン(供給網)構築を目指す。
■ネバダ州の鉱山所有、最先端のLFP技術に投資
カナダのリチウム大手リチウム・アメリカズ(Lithium Americas corp)は10月16日、自社ホームページ上で、GMとの合弁会社設立を発表した。合弁会社は米ネバダ州にあるタッカーパス・リチウム鉱山の開発に従事。GMは6億2500万ドル(約930億円)を拠出し、鉱山の権益38%を保有する。GMは既に同鉱山に初期投資として3億2500万ドルを拠出していた。この鉱山から生産されたリチウムはGMに供給される予定だ。
プレスリリース(リチウム・アメリカズ)Unlocking-Thacker-Pass-General-Motors-to-Contribute-Combined-625-Million-in-Cash-and-Letters-of-Credit-to-New-Joint-Venture-with-Lith-XXA0Y.pdf (q4cdn.com)
一方、GMは同じ10月16日、自社ホームページ上で、「傘下の投資企業GMベンチャーズを通じ、米素材科学企業のフォージ・ナノ(Forge Nano)に1000万ドルを投資する」と発表した。フォージ・ナノは原子層堆積を専門とする素材電池材料の研究開発を手掛け、電池材料に薄膜コーティングを施し、原子スケールで化学と構造を制御する表面工学技術を有する。また、コロラド州ソーントンの本社でリチウムイオン電池セルのプロトタイプも製造している。
プレスリリース(GM):GM Ventures invests $10 million in Forge Nano to pursue better batteries
■経営陣「他の重要鉱物への投資にも前向き」
10月17日のロイター通信は、GMのジェフ・モリソン上級副社長(グローバル購買・サプライチェーン担当)が同日、 同社のインタビューに対し、「北米での他の重要鉱物への投資にも前向きだ」と語ったと伝えた。
モリソン氏は車載バッテリー向け投資について「我々は鉱山会社になりたいわけではない」とした上で、「我々の主な目標は北米を拠点とし、西側諸国と連携した信頼できるサプライチェーンを構築することだ。そのためにはパートナーや資産を選び、産業化と成功のために何が必要かを見極めなければならない」と話したという。
(IR Universe Kure)
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