銅の国際価格が10月29日、とうとう過去最高値を更新した。これで金、銀、銅の国際価格はすべて10月に過去最高値を更新したことになる。細かな要因は各々で異なるが、共通の上昇要因は「供給不足への懸念」だ。鉱山の事故や資源枯渇、貿易環境の悪化などを背景に、マイナーメタルも含めた多くの金属に供給不安が広がる。
■すべて10月に過去最高値
過去20年間のNYとLMEの銅価格の推移($/lb)($/ton)
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銅価格は10月29日に現物$5.009/lbと、初めて$5の大台に乗せた。ロンドン金属取引所(LME)での現物価格も1万1067.5と、過去最高値を付けた。
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過去20年間のNY金と銀価格の推移($/toz)
金は相変わらず強気なムードだ。NY金の過去最高値は10月20日の$4359.4/toz、10月29日は$4000.7で、$4000を下値抵抗線に底堅さが際立つ。銀は10月16日に$53.296/tozと過去最高値を更新した。
■需要堅調、供給は不安
中国の不動産不振に端を発する製造業の低迷長期化を受け、金属需要全体は基本的にはさえない。しかし、金銀銅には個別に需要がある。まず金は、安全資産としての需要が大きい。米ドル離れが進む中、各国の中央政府が金購入を拡大している。銀は金に比べた割安感から投機筋に買われるほか、自動車向けなどの工業用需要が堅調だ。また銅は再生可能エネルギーの普及に伴う中長期の需要増が期待されてきた。
これに加え、供給不安が広がる。金は生産ラッシュが続くが、「埋蔵は今後数十年で枯渇する」などという言説が流れるとおり、資源枯渇への警戒は強い。古くから採掘されてきた金属であり、金採掘の歴史が長引くにつれ、年々、深い場所での採掘に挑むため生産コストも上昇し、誰でも生産に挑めるわけではなくなっている。
銀は単体ではなく銅や亜鉛などの副産物として生産されるため、そもそも生産量は増えにくい。鉱石中の銀の含有量が低下傾向にあるとの指摘もかねてあった。
銅は9月に米資源フリーポート・マクモランがインドネシアで運営する大型鉱山が事故で閉鎖し、2025年の生産量が大幅に目減りする可能性が高まった。チリのアントファガスタやカナダのテック・リソーシズが生産を絞っていることも供給不安につながっている。
■タングステンやガリウム、ゲルマニウムも高値継続
供給不安が価格を押し上げているのは、マイナーメタルの一部も共通する。タングステンAPT、ガリウム、金属ゲルマニウムは過去最高値圏で高止まりしている。これらは言うまでもなく中国による輸出規制が大きな要因だ。
過去20年間のタングステンAPT価格の推移($/MTU)
過去20年間のガリウムと金属ゲルマニウム価格の推移($/kg)
米中の貿易関係悪化は資源市場を混乱させ、2025年夏には銅も米関税懸念を受けて米国に在庫が偏在する場面があった。一方、アンチモンは2024年9月から中国が輸出規制の対象にしたが、1年を経て迂回輸出の経路確立などが進み、高騰は一段落している。
過去3年間のアンチモン価格の推移($/ton)
ただ、アンチモンなどは中国内でも資源枯渇が指摘されて久しい。タングステンも中国国内で採掘される製品の品質低下が言われ、環境保護の面からも中国国内の生産は絞られつつある。「資源は有限」という当然の事実を、金属価格の高騰は示しているのかもしれない。
(IR Universe Kure)