ステンレス鋼材国内市場はNi系、Cr系ともに下げ基調。
日鉄ステンレスは12日に2月店売りのNi系薄板、厚板単価をキロ5円の値下げを発表。2か月連続の値下げ。Cr系は横ばいとした。
市中実勢はいずれも昨年から続いている需要不振と3月末決算を控えた買い控えで荷動きは鈍い。
国内の304系冷延コイル市況はキロ当たり550~560円が中心レンジ(コイルセンター売値)。
(LMEニッケル相場と304系冷延コイル相場の推移)
(HCフェロクロム相場(SPOT)と国内430系冷延コイル相場の推移)
Cr系についても同様で、決算前の在庫減らし優先で問屋、エンドユーザーの買いは鈍い。実勢はキロ当たり340~360円。
ただ、アジアのステンレス鋼材相場はご承知のように水準が異なり304冷延コイルで1900ドルまで下落している。
日本市場へ入ってくるものはここまで安くはないが、例えば中国の青山集団ならびに子会社のヨンジンなどはロールの契約価格ではキロ当たり300円台前半まで下がっているという。
昨年はステンレス鋼材の輸入は29万トンながら冷延薄板は過去最高となった。
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昨年の大幅な円安水準でも輸入は増えているため、今年、円高が進むとすればさらに輸入は増える。
コイルセンター販売担当氏によると
「我々もだが、エンドユーザーさんもいまは在庫を増やしたくないので不要不急の買い物は避けたい。そのため注文は少ないのだが、輸入材だと引き合いは強い。ステンレス鋼材も
再びデフレに進んでいるのかもしれません」との由。
Cr系についても輸入材は着々と増えており、こちらもヨンジンからの輸入が増えているとのこと。国産品からキロ50~70円安い。同じ中国のTISCOよりもヨンジン製がお安いようだ。
また304では期待の半導体関係ではあるが、半導体製造装置最大手の東京エレクトロンの中国向け輸出が減少していることで、再び3月から10月まで減産に入るという。
これは中国国内での経済不況に加えて、中国国内でも自前で半導体製造装置を生産できるようになってきたからではないか、ともいわれている。
これを見越して東京エレクトロンはインド、欧州市場にセールスを強化していると聞く。
(IRUNIVERSE YT)