12月4日12時半、JFEホールディングスは昨日17時過ぎに発表した「インドにおける JSW スチールとの一貫製鉄所合弁事業について」説明会を開催した。説明に使われた資料はこちら。説明はJFEスチールの小川副社長が行った。

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⇒「JFE HD:インドにおけるJSWスチールとの一貫製鉄所合弁事業について」
<インドにおける JSW スチールとの一貫製鉄所合弁事業について>

〇東西製鉄所に次ぐ第3の一貫製鉄所運営による海外事業収益の拡大
今回発表した案件は、インドにおけるJSWとの一貫製鉄所合弁事業について、サブタイトルに書いてあるとおり、JFEスチールの東日本製鉄所、西日本製鉄所と2大拠点を持っているが、それに次ぐ第3の一貫製鉄所という位置付けで、海外収益拡大に向けて進んでいきたいと考えている。
<概要>
〇インド一貫製鉄所運営参画(資料3ページ)
●BPSL概要
2025年12月3日に、インドのJSWスチールと一貫製鉄の合弁会社の設立、これを50:50のフィフティフィフティでJV化するということに関して決定した。2030年までに、本工場(JV)は、1,000万トン級に拡張できる非常に意義のあるブラウンフィールド案件。さらに周辺に土地があるので、2,500万トン級の製鉄所まで、将来的には拡張できるポテンシャルを有している。
もう1つの特徴としては、この立地が、インドにおける最大の鉄鉱石生産地にあること、鉄鉱石鉱山を持っていることで、コスト競争力が非常に強い製鉄所。
左下にBPSLの概要を書いてある。名前はBPSL(Bhushan Power & Steel Limited)とは現行の名前。
所在地はインドのオディシャ州。同社が出資する50%分、日本円で約2,700億円を出資する。生産品目は、熱延鋼板、冷延鋼板、棒鋼、線材、鋼管を今作っている。現在の生産能力は450万トン/年。直近の収益状況は下段に書いているが、24年のハーフを2倍した値。参考までに売上高が約3,400億円、EBITDAが約500億円、税後利益が約170億円の規模の会社。
会社の歴史は資料の右側に書いている。2005年以製鉄所の操業を開始したが、2017年以破産プロセスに入った。それをJSWが再生し、2023年には当初の275万トンの粗鋼生産能力を350万トンに拡大した。2024年には450万トンへの拡大が完了した。こういう会社をJVにすることを決めた。
資料4ページに地図を書いているが、製鉄所があるのが、インドの東側のインドのオディシャ州。大きい赤丸がBPSLのSambalpur 製鉄所。来年稼働予定の自社鉱山、鉄鉱石を持っている。このエリアはインドの鉄鉱石の産出の7割を占めている。インドの鉄鉱石は自国で採れるが、大半は東側に集まっており、立地条件が良い。コストも安い。流通コストも含め安いので非常に競争力が高い。また、高山地区にあるのでインフラも充実しており、恵まれている。


出所:会社発表資料よりIRU作成
〇インド一貫製鉄所運営参画の意義(同5ページ)
まず1つは、インドが非常に成長の著しい成長マーケット。このマーケットに、インサイダーとして参入して、伸びる需要を補足したい。
それから、先ほど説明したが、コスト競争力が非常に優位、特に鉱山、鉄鉱石が安く手に入る。
もう1つ、我々にとって非常に魅力があるのは、早期拡張余地を持っているということ。これはインドのブラウンフィールド案件に書いたが、現在もJSWが現有設備のボトルネックを解消したり、あるいは操業改善したり、ポテンシャルを450万トンまですでに上げている。このその敷地の中に、さらに500万トン拡張することができる土地を既に持っている。インドの場合は、グリーンフィールドがスタートすると、土地の取得とか、ものすごい時間かかると、あるいは色々な反対に合うということで、ブラウンフィールドの魅力というのは非常に大きいものがある。
4点目は、我々の技術力を活用して競争力のある高級鋼製造工場を建設することができる。
この4点を我々の参画意義と考えている。
〇JSW子会社の50%株式取得について(同6ページ)
50%の株式取得は2つのトランシェに分けて行う。各国の当局に申請をだすので2ヵ月ほどかかると思われる。第一回目のトランシェは26年の3月頃と考えている。出資額の半分をここで支払うことになる。第二トランシェは26年の6月頃で、残りの残金を入れて50%取得すると、タイミングを考えている。
〇「JFEビジョン2035」・第8次中期経営計画(同7ページ)
今年の春に発表した中期計画、それからビジョン、こういったものの中で、本件の位置付けはどうなるのかということを書いている。我々は、まず国内は、非常に強靭化した、スリムで強靭な製鉄所、そこで高付加価値の製品を作って収益を上げる。
一方で、成長は海外に出て、この海外の事業で、その技術、商品、人材、そういうのを生かして、しかもその現地のトップクラスのパートナーと組むと、いった作戦で、我々の成長を作り出していくということを目指している。
〇JFEスチールの海外事業戦略(同8ページ)
27年度に、750億円、35年度、10年後には2,000億円の収益を上げる事業に育てていきたい。
これによってJFEスチールの収益を支える大きな柱をもう一本建てたい。海外事業が、既存の部分が成長することで10年後の2,000億円の半分ぐらい。残りの半分は、中計期間中に鉱山も含め4,000億円の投資を使って10年後に1,000億円ぐらい稼げる事業を育てていきたい。
本案件(非常にざっくりした計算)は、10年後に1,000万トンつくれる工場を目指している。トン当たり1万円稼ぐ事を考えているので1,000億円会社にしたい。それを50:50の半分500億ということなので、今回の投資によって10年後の収益の半分は目途を付けた。ここにさらに付加価値を持たせていく。あるいは、さらに1,500万トンを目指して拡張していくと我々の当初狙っている収益のかなりの部分が満たされる。
それが足りない場合は、まだ、1,000億円残っているので投資から出てくる分と9次中計以降の新たな、更なる投資をも合わせて狙っている10年後の2,000億というものを確実に実現していく。
〇JFEスチールの海外戦略における3つの柱(同9ページ)
海外戦略を考える中で、大きく3つの柱がある。これで成功するためのポイントとして1番大事なのは、まずマーケット自身が、有望なマーケットであると。有望だということは、1つは成長するマーケットであるということと、あと安定的な収益が確保できるようなマーケット。それから3つ目は、いろんなコスト、その他の優位性を持っているマーケット。こういうマーケットをまず選んで、そこに有力なパートナーを現地に見つけ、そのパートナーと組み、さらに我々の技術と資金を供給することがポイントとなっている。そういった面で、今揃っているのがインドと北米であると考えている。
〇JSWの成長(同10ページ)
同社が出資をしたのが、2010年に1,000億ぐらいのお金を入れた。そこからJSWは非常に素晴らしい成長をして、これはその生産量のグラフであるが、年率11%ぐらいの成長をずっと続けている。
その間、高炉の操業技術、特に、2021年以降、JSWは大型高炉、50立米の超大型高炉を次々と建てるようになったが、こういった時に、大型高炉の経験のない彼らの立ち上げ支援とか、いろんなトラブル解決を手伝ったり、あるいは、2017、8年頃、自動車用鋼板で本格的に出ていくという時に日系自動車のアプルーバーを取るような作業、こういったものを協力した。あるいは、無方向性電磁鋼板、NOの技術を共有したり、サポートしながら彼らの成長をずっと支えてきた。
非常に素晴らしいことは、彼はこの11%の成長をオーガニックグロースでやっている。最初に入れたお金から追加の増資をほとんどせずに、この大きな成長をしているということが非常に我々にとってありがたい成果あり、これからやろうとしているJVもこういう成長を目指していきたい。
粗鋼生産量も、もう2,500万トンに近づいており、規模的にもいろんな操業を実行する力もかなりついてきており、ここで、我々のパートナーシップとして、次のフェーズに入っていくことで、今回のこのBPSLの50:50のJVとか、あるいは前回報告した電磁鋼板のJVを作るとか、こういった新しい関係を作っていこうと、パートナーシップを作っていこうというのが我々の狙い。
〇成長マーケットであるインド市場(同11ページ)
インドのマーケットは、成長するマーケットだということでもう疑問の余地がないが、振り返ってみると、この日本、韓国、それから中国は、非常に奇跡的な成長を、復興を成し遂げてきたわけだが、その1人あたりの、伸びのグラフを書いてみると、割と非常によく似たようなグラフをたどっている。
この1人あたりの粗鋼生産量が100キロ超えたあたりから、テイクオフが始まって、そこから非常に高度成長をして、15年か20年ぐらいで、それがピークアウトしていくというような経緯をたどっている。
ちょうど今、インドが、昨年102キロになったので、このテイクアウトのちょうどいいところである。
我々のこのJVの狙いは、ここの、非常に急速な成長をする、このインドのマーケットの中にインサイダーとして入って、この成長の成果を取り込みたいと思っているが、この15年から20年の期間に、何ができるかというのは非常に重要だと考えている。
今このJV化した工場は、すぐさま拡張計画、それから実行に入っていく。それが1回500万トン増強した後にもう1回の増強する余裕がある。これ2回増強すると1,500万トンの工場になって、この成長の窓が閉じる前に、回収フェーズに入れるということで、このタイミングで参入することと速やかに実行していくということが非常に重要になってくると考えている。
〇今後の拡張戦略(同12ページ)
この右側に書いてあるブルーのところが現在操業業しているエリア。この右側のところが、拡張用のスペースを、もうすでにほぼ大半の土地を取得している。ここで拡張するというのは、すぐにもできる状況になっている。
先ほどJSWの成長の絵を見せたが、彼らは3年から4年ごとに500万トン増強、その大型高炉を1件ずつ建てて、500万トンずつ増えるというのを、今3回目の増強やっている。したがって、この土地があるということと、増強を実行する力、JSWは非常に強いものを持っているので、この両方を合わせて、そこに我々の高級鋼を作るノウハウを入れて、この大きな成長を実現したいと考えている。
〇JFE – JSW 相互利益の実現(同13ページ)
下の青い線は年率11%、複利計算の成長カーブを描いている。JSWはオーガニックグロースを志向しているので、自分で成長して稼いだお金を投入してさらに成長する。オーガニックグロース11%をやっているが、ここで我々がJVで資金を投入することで、BPSL自身の成長だけでなく、JSW自身の成長を加速させることでお互いウィンウィンの状況になることを書いている。
〇JFEスチールの目指す姿(同14ページ)
同社にとって、このプロジェクトどういう意味がるのか、書いている。我々は、西日本製鉄所と東日本製鉄所、この2つの2大拠点をベースに、国内で強い製鉄所を作っていくが、このBPSLはそこに次ぐ第3の製鉄所。最終的には1,500万トン目指すので、規模から言うと本当に福山よりも大きくなり、西日本に次ぐ、福山・倉敷を合わせた、西日本に次ぐ、大きな規模の製鉄所になるということで非常に大きな意味を持っている。コスト競争力が非常にある、安い鉄鉱石いう以外に、建設コストも日本の半分ぐらいで建設できるので、コスト競争力が非常にある。さらには、この新しい製鉄所を0から作るというのは、我々もう最近あんまり経験できないような機会であるので、この機会を生かして、もう一度技術力を高める、若手の力を強めることも期待をしている。
(IRuniverse 井上 康)