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西鉄メタル(旧九州メタル産業)を7年ぶりに訪問 ELV減少時代のリサイクル最前線 梅崎取締役工場長に聞く

2026/06/16 12:02
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西鉄メタル(旧九州メタル産業)を7年ぶりに訪問 ELV減少時代のリサイクル最前線 梅崎取締役工場長に聞く

MIRU取材チームはこのたび、7年ぶりに西鉄メタル(旧九州メタル産業)を訪問し、梅崎直樹取締役工場長に現状と今後の展望について話を伺った。
2019年12月、MIRUでは同社を「リサイクルのテーマパーク」として紹介した。当時から北九州エコタウンを代表する総合リサイクル企業として、自動車、家電、非鉄金属、ASR(自動車シュレッダーダスト)など幅広いリサイクルを手掛けてきたが、この7年間で何が変わったのだろうか。

関連記事(2019年現場探訪記事):

最大の変化は「ELVの減少」
――7年前と比べて変わったことはありますか。
梅崎工場長はまず設備面の進化について語った。

「大きくは変わっていませんが、非鉄選別の光学選別機を導入しました。以前は20ミリ以下の細かな非鉄を人手で選別していましたが、設備更新によって選別精度が向上しています。」

ダスト選別設備についても継続的な改良を進めており、ASR資源化施設のリニューアルも今後数年で完了する予定だという。
しかし、この7年間で最も大きな変化は設備ではなく、原料となる廃車(ELV)の減少だった。

「7年前と比べると、感覚的には4割程度減っています。全国的な傾向ですね。」

背景には中古車輸出の増加がある。
これまで国内でELVとしてリサイクルされていた車両が、中東やアフリカ向けの中古車市場へ流れている。近年、一部輸出規制の動きも見られるものの、輸出ルートは多様化しており、国内に戻ってくる車両は限られている。

「鉄ガラ」だけが残る時代
ELV減少と並行して、自動車解体の現場も大きく変化している。

「今は解体業者さんが本当に丁寧に取り外しています。エンジン、ハーネス、アルミホイール、触媒など価値のあるものはほぼ全て回収されています。」

かつてはエンジン付きの車両がそのままシュレッダーに投入されるケースも多かったが、現在は徹底した事前解体が一般的になった。
結果として、西鉄メタルに搬入される段階では、すでに非鉄分の多くが取り除かれた状態になっている。

「ハーネスも高いですからね。以前と比べると本当に鉄ガラに近い状態で入ってきます。」
リサイクル技術の高度化と資源価格の高騰が、解体工程の付加価値向上を促している。

廃棄物は減るが、一般廃棄物は減らない
自動車だけではない。自動販売機や産業系スクラップなど、多くの分野で発生量そのものが減少しているという。

一方で、西鉄メタルが北九州市から受託している粗大ごみ処理事業では違った景色が見えている。

「一般廃棄物は非常に安定しています。家具やソファ、自転車など、焼却できない粗大ごみが継続的に入ってきます。」

企業では廃棄物削減やリサイクル意識が高まる一方、家庭系廃棄物は依然として高水準で推移している。

「企業は一生懸命減らそうとしていますが、市民生活から出るごみを見ると、また違う現実が見えてきますね。」

人口減少社会においても一般廃棄物が大きく減らない現状は、循環型社会を考える上で興味深い示唆を与えている。

「九州メタル産業」から「西鉄メタル」へ
2025年、同社は長年親しまれてきた「九州メタル産業」から「西鉄メタル」へ社名変更した。この決定は西鉄本体からの指示ではなく、社内発案だったという。
九州メタル産業は業界内では非常に知名度が高いが、一般社会では西鉄グループ企業であることが十分に認知されていなかった。

「西鉄グループとして、もっと一般の方々にも知っていただきたいという思いがありました。」

グループブランドを前面に出すことで、地域社会とのつながりをより強くしていく狙いもある。

シェルカッター(左)安定して回収される家庭系一般廃棄物(右下)

金属価格高騰が収益を支える
ELVは減少しているものの、事業環境が悪化しているわけではない。

「2019年と比べると、銅をはじめ非鉄金属価格はかなり高くなっています。」

西鉄メタルの特徴は、非鉄スクラップを購入して売買するのではなく、自社のリサイクル工程から非鉄金属を回収することにある。
家電、自動販売機、産業廃棄物、自動車など、多様な廃棄物から非鉄を抽出するため、非鉄価格の上昇がそのまま収益向上につながる。

「非鉄の価値が利益に直結しています。」

まさに都市鉱山ビジネスの真価が発揮される局面と言えるだろう。

AI時代のシュレッダー工場へ
取材後、梅崎工場長に工場を案内いただいた。
まず驚かされるのがオペレーションセンターだ。

複数の大型モニターが並び、オペレーターはジョイスティックを操作しながらプラント全体を管理する。巨大シュレッダーのメインモーター出力は1,500kW。
プレシュレッダーが投入量を自動制御し、負荷状況を見ながら最適な処理量を維持している。

「昔はオペレーターの腕で処理量が決まりました。今は自動制御が中心です。」

安全性と設備寿命は向上したが、オペレーターの経験による“職人技”が発揮される場面は少なくなったという。

進化する非鉄選別
今回特に印象的だったのが、今年3月に導入された最新の光学選別機だ。

以前は女性スタッフによる手選別が中心だった20ミリ以下の細かな非鉄についても、アルミ、銅、ステンレス、プラスチックを高速かつ高精度で選別できるようになった。
重液選別設備と組み合わせることで、非鉄回収率はさらに向上している。

ネオジム磁石回収も視野に
家電由来のコンプレッサーやモーター類からは銅だけでなくネオジム磁石も回収可能だ。

「ネオジム回収設備の導入も検討しています。」

EVやモーター用途で需要が高まるレアアース回収は、今後のリサイクル業界の重要テーマとなりそうだ。

高純度銅ナゲットへのこだわり
西鉄メタルの代名詞ともいえる銅ナゲット設備も健在だった。
デンマーク製設備を用い、電線被覆を効率的に除去する。
高純度の赤ナゲットを製造している。

「銅箔メーカー向けにも販売できる品質です。」

国内でも赤ナゲット設備を持つ事業者は限られており、西鉄メタルの技術力を象徴する設備の一つと言える。

リサイクル業界共通の課題
7年ぶりの訪問で感じたのは、設備は進化し続けている一方で、業界全体が「原料不足」という新たな課題に直面していることだった。

中古車輸出の増加。人口減少。製品の長寿命化―――。

こうした変化により、従来型のスクラップ発生量は確実に減っている。

それでも西鉄メタルは、光学選別、ダスト資源化、非鉄回収高度化、レアアース回収
など新たな価値創出に挑戦し続けている。

かつてMIRUが「リサイクルのテーマパーク」と表現したこの工場は、今や「都市鉱山開発の最前線」と呼ぶべき存在へ進化していた。

(IRuniverse R.S.)

R.S.

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