SUSscrap MarketWatch 2025#7 5月価格は円高とニッケルDown&炉修で最低でも10円下げ
国内ステンレススクラップ市況は月初9日~10日に5~10円の下げを講じ市中実勢304系スクラップでキロ当たり180円が中心となったが、その後様子見。しかし5月価格は現在の円高、ニッケル相場の下落から最低でも10円の下げが予想されるところ。
下表のように為替は4月平均が現時点で145円と前月から5円の円高。足元では139円まで円高は進んでいる。
ニッケル相場も15,000ドル際、と前月から1000ドルの下落となっている。
これからみても、韓国POSCO社の5月買値も確実に下げ。
アジアのSABOT市況もトン当たり1250~1280ドルと弱い。台湾着値でキロ当たり180~185円。輸出もいまひとつ。中国筋の買いもまったくの鎮静化。
(*4月は22日現在までの数値および平均値)
(最近の為替円ドル相場とLMEニッケル相場の推移)
国内のステンレス特殊鋼メーカーの生産状況も回復の兆しなく、5月は例年、日鉄光の炉修が行われるため購入量はなお落ちる。特殊鋼メーカーもすでに納入枠を制限しており、5月の値下げも示唆している。
輸出の親和スチール社は今月にかなり駆け込みで入ったようで川崎ヤードは在庫潤沢。
例によってスクラップの発生は芳しくないが、今の相場下落と5月の稼働日数の減、メーカー炉修でなお実需は落ちる。従って、304系スクラップは最低でもキロ当たり10円の下げが見込まれるところ。
他方、ステンレスメーカーは前述したように生産は低位安定が続いているが、製品販売価格は下がってはいるものの、日本はアジアでは断トツに高い市場であるため、低稼働ながら高収益を果たしている。日鉄然り、日本冶金然り。
しかしながら、こうした「高値市場」を目指して、輸入材は増え続けている。この円高でなお輸入コイル、シート、パイプは増加していくこと必至だ。
(日本と東南アジアの304系冷延コイル(2B)の推移)
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鉄鋼輸出入実績 2025年2月(速報)及び1月実績 ②輸入 ステンレス鋼材
(IRUNIVERSE YT)
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