2025年8月初めまでのバナジウム価格はまちまち。五酸化バナジウムが持ち直した一方、フェロバナジウムはほぼ5年ぶりの安値に下げた。最終需要の鉄鋼価格の低迷が意識され、先行きに慎重な見方が多い。下げ止まった五酸化バナジウム価格も勢いは鈍い。
■五酸化バナジウム持ち直す、フェロバナジウムは5年ぶり安値
過去3か月間の五酸化バナジウム価格の推移(V205 fob China)($/lb Vo205)
五酸化バナジウムは7月24日に仲値$4.595/lbと、6月中旬以来およそ1か月ぶりの高値に持ち直した。7月上旬に$4.355まで下げたがこの水準を底に安値拾いの買いが入っている。
Ferroalloy.netは8月1日までの週刊レポートで、五酸化バナジウム価格の反発について「端子鋼価格の上昇によりバナジウム市場への信頼感が高まり、取引先企業からの問い合わせが増加した」と指摘した。ただ、添加剤など最終需要が本格的に回復したとは言えない中で、市場では「取引価格引き上げに慎重な姿勢もみられる」としている。
過去3か月間のフェロバナジウム価格の推移(V78%min US$/kg EU)($/kg)
鉄鋼向けのフェロバナジウムは下げ止まらない。7月31日に仲値$23.55/kgと、2020年11月以来4年9か月ぶりの安値を付けた。2022年春の$64を頂点に下落が続く。
中国の不動産不況に改善の兆しが乏しい中、鉄筋向け添加剤としてのフェロバナジウムの需要も低迷が続く。Ferroalloy.netはレポートで「6月に一時、下げ止まりを期待する買いが入ったものの最終需要の鈍さが改めて意識され、高価格での取引に戻りにくくなっている」とした。
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7月30日
オランダ特殊金属加工のAMGクリティカル・マテリアルズ(AMG Critical Materials)が7月30日に自社ホームページ上で発表した2025年4-6月期決算で、傘下のAMGバナジウムの同期間の売上高は前年同期比4%減の16万ドル、営業利益が10%減の1562ドルだった。フェロバナジウムとチタン合金の販売減が響いた。
プレスリリース:AMG Reports Strong Second Quarter 2025 Results - AMG Corporate
7月28日
太陽鉱工は技術優位性のあるバナジウム関連事業に成長向けの資本を傾斜配分している。特に研究開発投資はバナジウム重点という。産業新聞が7月28日に伝えた。
7月15日
カナダのバナジウムメーカーのラルゴ・リソーシズが7月15日に自社ホームページ上で発表した2025年4-6月のV₂O₅生産量は、2256トンと前四半期比74%増えた。
(IR Universe Kure)