日本製鉄は7日、8月契約分のステンレス冷延薄鋼板の一般流通(店売り)向け価格をニッケル系、クロム系ともに1トン当たり5000円(約1%)引き上げると発表した。いずれも値上げは8カ月ぶり。原料であるクロムの価格上昇や外国為替市場での円安進行を反映した。ということでプライスリーダーの日本製鉄はステンレス鋼材の値上げを発表したが、実勢は弱い。
中堅コイルセンターの販売担当者は
「これといって需要が増えていないなかでは我々がエンドユーザーにが値上げでオファーするのは難しいというのが正直なところ。
今の値段(304薄板でキロ当たり520円前後=関西)でも渋い。すぐに外材(輸入材)にいく。つなぎとめるにはせいぜい現状横ばいでお願いするしかない。
我々としてもコストが上がっているため、値下げは難しいが値上げはもっと難しい」という。
また、別のステンレス加工業者は
「うちらだけかもしれないけど、ステンレス鋼材、売れてない(苦笑)。売れているのはひもつきだけ。SPOTは出ない。
その一方で輸入材だけは売れている。国もAD調査には入っているけれど、実際どうなんだろうか。。
流通業者はなかなかエンドユーザーに値段が通らないので輸入材を使わざるえない状況。それなりに需要はあるが利益は出ない」と本音をもらす。
(ここ1年の国内ステンレス304冷延薄板市況とアジアの304冷延薄板コイル市況の推移)
(世界トップレベルの価格帯である日本国内の304ステンレス市況はキロ当たり530円前後が中心、トン/ドルでは3600ドル以上、たいしてアジア地区は1950ドル前後)。インドネシア青山のオファー価格はさらに安く1800ドル。これでもこの1か月で70ドル引き上げたのだと青山は発表している)
その輸入材は日本の304冷延薄板がキロ530円としたら、韓国材は430円、中国、インドネシア品は330~380円というレベル。
(IRUNIVERSE)