2025年8月のチタン原料市場は下落している。用途の6割を占める塗料向け酸化チタンが過去10年間での最安値を更新し、原材料となる鉱石価格をはじめほかの形状にも需要の先行きを悲観するムードが広がっている。数年ぶりの安値圏に落ちこむものが相次いでいる。
■酸化チタン下げ止まらず
過去3か月間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)
酸化チタンは7月24日に仲値$1900/tonと2020年6月の直近安値を下回り、過去10年間での最安値を更新した。FerroAlloyNetは8月8日までの週刊レポートで、「関税の影響もあって最終製品の需要が鈍り、塗料向け材料も需要が低迷している。メーカーは(新規の取引ではなく)既存顧客との取引しか行っておらず、一部の企業は在庫が過剰になりつつある」と分析した。
過去10年間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)
■軒並み数年ぶりの安値
ほかの形状にも暗いムードが漂う。鉱石価格とフェロチタン価格は2020年末、ルチルも2019年4月、四塩化チタンは2016年10月以来の安値にそれぞれ値下がりした。
過去3か月間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)
過去3か月間のフェロチタン価格の推移(Ti 70% EU)($/kg Ti)
過去3か月間のルチル価格の推移(95% Ti02 bulk Fob豪州)($/ton)
過去3か月間の四塩化チタン価格推移(99.99%min EXW China)(Rmb/mt)
二酸化チタンの低迷を受け、原材料である鉱石の需要にも悲観ムードが漂う。FerroAlloyNet は、「下流の需要が乏しく買い手が高値での取引に乗らないため、採掘企業側は高価格を設定できない」とし、一部企業は減産に踏み切っていると伝えた。チタンスラグも大手の価格引き下げなどが影響し、価格は低迷しているという。
■金属チタンも再び下落
過去3か月間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg)
過去3年間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($/kg)
金属チタンもさえない。7月に値上がりした中国の一般産業向けスポンジチタンは8月8日に仲値$7.008/kgと5月以来の安値に再び下げた、航空機向けスポンジ紫檀は横ばい。
<Topics>
8月7日
東邦チタニウムと大阪チタニウムは8月7日までに、2025年4-6月期決算を発表した。
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7月24日
一般社団法人日本チタン協会は7月24日、東京都内で、「2025年度 賛助会員部会 夏季総会・研修会」を開催した。
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(IR Universe Kure)