ハフニウム価格が急騰している。6月13日高値は1Kg=7.100ドルと過去最高値を付けた。世界的なコロナ禍の終了で航空や原子力産業が回復し、材料の1つであるハフニウムの需要が増している。中国の半導体産業の回復も品薄に拍車をかけているもようだ。
過去1年間のハフニウム価格の推移(Zr 1%.max)($/Kg)
ハフニウムはジルコニウムの生成過程で得られる希少なレアメタル。金属ハフニウムの世界生産量は年間で70~100トンにすぎず、生産国は中国、ロシア、フランス、米国などに限られる。耐熱性と融点の高さが特長で、航空宇宙産業や発電用ガスタービン向けの超合金(スーパーアロイ)、原子炉の制御棒などに使われる。さらに、薄膜酸化物形態のハフニウムがマイクロチップの絶縁体に用いられるほか、酸化ハフニウムが光ファイバーや誘導電タスミラーの表面コーティングに使用されるなど、半導体分野の用途もある。
ハフニウム需要は2011年の福島原子力発電所の事故後に一時鈍ったがその後は次第に増加し、コロナ禍からの回復が本格化した2022年秋からは、航空産業の回復などを見込んだ需要が高まった。しかし、そもそも多くを生産できる鉱種ではないため、既に2022年時点で在庫が薄くなっているとの情報があった。
足元では、中国政府が3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で自動車向け半導体の全面国産化を命じるなど、中国がコロナ禍中は一服していた半導体産業への支援姿勢を再び強め始めてもいる。中国の自国産業振興方針への観測も価格押し上げの一因となっている可能性がある。
(IR Universe Kure)