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リチウムイオン電池、廃棄処理設備に補助金

2025/12/24 21:04 FREE
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リチウムイオン電池、廃棄処理設備に補助金

― 発火防止と資源循環を両立へ、政府が対策を本格化、2030年までに「重大火災ゼロ」目標

政府は、廃棄されたリチウムイオン電池(LIB)による火災事故の増加を受け、発火防止とリサイクル推進を目的とした包括的な対策パッケージを公表した。民間の廃棄物処理施設に対し、AIやX線を用いた電池選別設備などの導入を支援する補助金制度を2025年度内に創設する方針である。
本パッケージは、23日の閣議後会見で石原宏高環境相が発表したもので、政府は2030年までに、リチウムイオン電池が原因となる重大火災事故をゼロにすること、併せて国内のリサイクル体制を確立することを明確な目標として掲げた。

補助金に必要な財源は、すでに2025年度補正予算に計上済みで、具体的な制度設計は今後詰められる見通しだ。対象となるのは、ごみに混入したLIBを高精度で検知・除去するためのAI選別装置やX線検査装置などの設備投資が想定されている。

自治体連携による回収体制整備も後押し

政府は設備投資支援に加え、自治体による分別回収の強化にも踏み込み、市町村や都道府県が連携して回収拠点を整備する施策を支援するほか、劣化・膨張したリチウムイオン電池の処理実態調査も実施する予定だ。
近年、モバイルバッテリーや小型電子機器に内蔵されたLIBが一般ごみに混入し、廃棄物処理施設や収集車内で発火するケースが相次いでおり、処理現場の安全確保は喫緊の課題となっていた。

対策パッケージでは、安全性に懸念のある製品を製造・販売しながら、連絡が取れない事業者名の公表も盛り込まれた。併せて、消費者に対しては、LIB内蔵製品の使用時の注意点やリコール情報の周知を一層強化する。

LIBには、リチウム、コバルト、ニッケルといったクリティカルマテリアルが含まれている。政府は今回の取り組みを、単なる安全対策にとどまらず、資源循環の高度化と経済安全保障の強化につながる施策と位置づけている。

今回のパッケージは、環境省、経済産業省、消防庁、国土交通省、消費者庁の5省庁が参加する連絡会議での議論を踏まえたもので火災防止、リサイクル、製品安全、資源政策を横断的に捉える姿勢が鮮明になっている。

今後、AI選別・検知技術、リサイクル関連設備、電池安全技術を有する企業にとっては、新たな市場機会となる可能性が高い。一方で、制度設計の詳細や補助対象範囲が、産業界の実装スピードを左右する重要な論点となりそうだ。

参考:日本経済新聞

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(IRuniverse, Risa)

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