見本市主催会社のRX Japanは2023年6月28日(水)~30日(金)、東京ビックサイト(東京都江東区)で、「COMNEXT-次世代通信技術&ソリューション展」を開催した。出展企業だけでなくパネルディスカッションに韓国や台湾などから参加者があり、国際色の濃い見本市となった。
6月29日開催のパネルディスカッション「世界各国の6Gの取り組み・日本との連携に対する期待」には、6G Smart Networks and Services Industry Association のコリン・ウィルコック会長(欧州)、Next G AllianceのKi-Dong Lee氏(米国)、中華電信の楊文豪・経営企画部協理(台湾)、壇国大学校のHyeon Woo Lee教授(韓国)の4人が参加した。司会は中尾彰宏・東京大学工学部教授が務めた。
6Gとは「第6世代移動通信システム」のこと。超高速・大容量であるだけでなく、現在の5G技術ではカバーしきれない宇宙空間などをカバーし、人工知能(AI)をはじめとした他の情報インフラとの連携も目指す。
もちろんどこの国でもまだ研究段階にあり、最も進展の早い台湾でも2018年から研究を開始し、実用化は2024年以降になる見通し。楊教授は「台湾では人工頭脳(AI)も含めて、通信分野を政府が大切に考えている」と話した。
一方、韓国では「5Gも普及率は40%程度で、6Gの実用化は2030年ごろになりそう」(Lee教授)なのが実情。携帯電話サービス会社が各自治体と契約する形を採っており、国としての研究や普及まで至っていないためという。Lee教授は「6Gは社会全体で使うことになるだろう」と述べた。
一方、日本との協力について、欧州のウィルコック会長は「日本は自動車などでも大企業が多く、社会システムが完成されている。世界のどこでも使える6Gの普及を考えると、重要なパートナーになるだろう」と話した。米国のLee氏も「日本の通信技術における開発能力の高さを評価している。また、若者が日常生活で多彩に6Gを利用するのではないかと考えている」と期待した。
同展は出展企業の中にも台湾企業コーナーがあるなど、通信・半導体技術における先進国である韓国や台湾の情勢を重視していることがうかがえた。来場者も熱心に質問する様子が見られ、質の高い見本市だった。
(IR Universe Kure)