ベトナムがレアアース生産の増加を目指しているもようだ。BNN Breakingなどの外電が消息筋の話として9月26日までに伝えたところによると、ベトナム政府は2024年にも西側諸国で最大規模のレアアース鉱床とされる北部ライチャウ省のドンパオ鉱山の生産を再開する計画という。同鉱床の再開や運営には米国の支援が見込めるとの観測も出ている。
ドンパオ鉱床の位置
(出所:JOGMEC)
Mining.comの報道によると、ベトナム政府はドンパオ鉱を巡り2023年内に複数のブロックの入札を開始し、オーストラリアのブラックストーンミネラルズなどが応札する予定。応札企業らは製品の最終供給先となる電気自動車(EV)メーカーなどと協議中とされ、1億ドル規模の投資を計画しているという。
米国地質調査所によると、ベトナムは中国に次いでレアアース埋蔵量が多く、ドンパオ鉱も、かつて豊田通商と双日が開発に協力するなど採掘が試みられてきた。しかし、中国による廉価なレアアースが出回り生産価格が下落したことで、採算が合わなくなり投資を放棄。同国は多くのレアアース鉱床が手つかずのまま残っているという。
ただ、近年は風向きが変わり、特に資源類の中国依存を低減させようとの動きが西側諸国に広がる。2023年9月には、バイデン米大統領がベトナムを訪問し、両国の関係を「最上位」に引き上げた。このため、ドンパオ鉱の再開や生産には米国の支援が見込めるのではないかとの期待が出ている。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の2009年の調査リポートによると、ドンパオ鉱の主要鉱物は炭酸塩鉱物(バストネサイト)で、重晶石や蛍石も埋蔵しているという。
(IR Universe Kure)