海外企業の2023年7-9月期決算の発表が相次いでいる。これまでに発表のあった大手資源企業の純利益は、軒並み前年同期から減少した。世界的な製造業の不振が続く中、金属需要も減少が続いた。特にリチウムやニッケルといった鉱物を扱う企業は前年の好況の反動もあり、大幅減益だった。
世界の資源大手の2023年7-9月期決算一覧
注)社名は通称。単位はライナスのみオーストラリアドル、他は億米ドル。増減率は前年同期比。▲は赤字。
サウジアラビアの国営大手で世界的に時価総額の大きなサウジアラムコは2割の減収減益だった。石炭や亜鉛、銅など幅広く扱うカナダのテック・リソーシズも大幅な減収減益。
インドネシアでニッケル生産を手掛けるブラジルのヴァ―レや、リチウム生産世界最大手の米アルベマールは増収を確保したにもかかわらず、コスト増などが響いて減益に沈んだ。
ただ、アルミのアルコアの最終赤字額が前年同期から縮小するなど、世界的な経済減速の影響は峠を越えた兆しも感じられた。
■ニッケル・インダストリーズは生産増やす
一部の大手企業は、7-9月期は生産状況だけを発表した。スイス資源大手のグレンコアは金と石炭を除くすべての製品の生産量が減り、フェロクロム、銀、ニッケルの生産量は2ケタの減少だった。
英豪資源大手のリオ・ティントは酸化チタンスラグの生産量が20%減。ボーキサイトやアルミニウム、鉄鉱石などの生産量は小幅増を維持した。一方、インドネシア事業を手掛けるオーストラリアのニッケル・インダストリーズのニッケル生産量は、同社としての過去最大を記録した。
(IR Universe Kure)