中国国家統計局が11月15発表した2023年1-10月の主要経済指標はまだら模様となった。特に消費は一部で回復の兆しが感じられるデータが見られたものの弱含む数値もあり見極めがたくなっている。不動産の悪化は止まらず、固定資産投資も伸び悩んでいる。
中国の2023年の主要経済指標
(注)単位は新規融資以外は前年同期比増減で%、固定資産投資と不動産開発投資は1月からの累計、GDPは四半期。
(中国国家統計局、中国海関、中国汽車工業協会、中国人民銀行などの発表をもとにIR Universeが作成)
10月の経済指標では小売売上高や新車販売の伸びが9月から拡大し、輸入もプラスに転じた。ただ、比較対象となる前年同月が都市封鎖(ロックダウン)の影響で低かったためとの指摘もあり、消費が本格回復しているとは言い難い。サービス業の景況感指数は下落が続き、消費者物価(CPI)は3ヶ月ぶりに前年同月比でマイナスとなった。
不動産開発投資は2023年は一貫してマイナスで、減少率は拡大している。固定資産投資も伸びが鈍化。中国の固定資産投資は「公共事業で支えられている」(金融アナリストの川上敦氏)とされるが、それすらも伸び悩んでいることになる。企業・機関の投資意欲の減退は融資意欲の面からも明らかで、新規融資も10月は1兆元を下回った。
不動産や投資に回復が見られない中、建材はじめ材料需要も低迷が続きそうだ。鉄鋼や銅、アルミ、レアアースなど多くの材料で中国国内価格が引き続き弱含めば、国際価格にも影響が続くとみられる。
(IR Universe Kure)