12月22日にUACJが開催した航空宇宙・防衛材事業に関する事業説明会の続き。説明に使われた資料はこちら。説明に使われた資料はこちら。説明は引き続き航空宇宙・防衛材事業本部 鋳鍛製作所の吉田所長が行った。
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⇒「UACJ:航空宇宙・防衛材事業に関する事業説明会開催(航空宇宙・防衛材事業本部の発足)」
<航空宇宙・防衛分野で使用されるアルミニウム合金>

〇アルミニウムの豊富な特性(同20ページ)
アルミニウムには主に15の特徴があり、よく知られているところでは、軽い、強い、リサイクル性に優れるといった特徴がある。
ここに示す通り、他には熱をよく伝える、加工しやすいなどの多くの特性を持ち合わせている。航空宇宙防材事業では、主に軽さ、強さ、加工しやすさの3つの特徴が用いられている。
〇UACJが提供する製品分野(同21ページ)
UACJでは約2000種類の合金を登録し、1万種類以上のレシピでそれを製造して、ユーザーが求める特性を発揮している。
ここに示しているように、航空宇宙は2000系合金、6000系合金、7000系合金がよく用いられている。
〇アルミニウム展伸材の合金と用途(同22ページ)
アルミニウム展伸材は、非熱処理型と熱処理型に大別される。非処理型には、純アルミの1000系、アルミマンガンの3000系、アルミシリコンの4000系、アルミマグネシウムの5000系があり、圧延や引抜などの冷間加工によって所定の強度を得る。
2000系は加工性、耐食性、電気や熱の伝導性に優れるが、強度は低く、反射板などに使われる。
5000形は非熱処理型で最も高強度の成形性にも優れ、単塩土や構造材に使用される。
一方、熱処理型には2000系、6000系、7000系があり、溶体化処理及び人工時効処理などの熱処理によって所定の強度を得る。
2000系は耐熱合金であり、高温で高い強度を持つため、航空機のエンジン部品またはロケット部材などに使われる。
7000系はアルミ合金の中で最高の強度を有し、航空機や構造材の用途に用いられる。
〇航空宇宙・防衛分野で用いられるアルミニウム(同23ページ)
●航空宇宙・防衛分野で用いられる主な合金
航空宇宙分野では、主に用いられる合金は2000系合金、6000系合金、7000系合金であり、いずれも高い強度が特徴。
これらは熱処理で強化する合金であるため、高い制度で制御可能な熱処理技術が必要とされる。
●航空宇宙・防衛分野の製品(同24ページ)
こちらの製品は徹底的に軽さを追求される部品が多い。
極限の軽量化に伴う強度確保のため、補強筋の選定や精密な機械加工による軽量化が行われる。
また、溶接による接合部の強度低下を避けるため、大型素材から機械加工による部品一体化が重要になる。
<鍛造について>
〇鍛造について(同26ページ)
伝統的な鍛造の例として左図に刀鍛冶などがあるが、大量の鉄を用い、道具として金敷と金槌を使って行うもの。
一方、同社の鍛造では、材料にアルミを用い、道具として乾式とオートプレスを使用して鍛造を行う。
この鍛造においては主に型鍛造と重鍛造の2つの種類があり、それぞれを以下で説明する。
●型鍛造(同27ページ)
型鍛造は金型を用いて形成する鍛造方法で、同じ形状の製品を量産できるという特徴がある。しかし、同一形状しか製造できず、製品1つに対して1つの金型が1つ必要となる。
●自由鍛造(同28ページ)
自由鍛造は金敷や治具を用いて成形する鍛造方法。特徴として様々な形状が製造できる点が挙げられるが、製品形状は比較的単純でラフになる。
そのため、自由鍛造は様々な形式や治具を組み合わせて成形を行う。
自由鍛造では各種合金での生産に対応可能であり、1個からの製造にも対応できる。また、圧延や押出では製造できない形状も対応可能。例として、写真では板、リング、円筒状の形状を示している。
〇製造プロセス概略(同30ページ)
ビレットやスラブといった素材から始まり、自由鍛造または型鍛造によって鍛造が行われる。その後、機械加工、熱処理、仕上げ、機械加工、検査を行い、出荷に至る。
●鍛造プレス(同31ページ)
1000トンプレス、3000トンプレス、5000トンプレス、そして国内最大級の1万5000トンプレスを有しており、それぞれの圧力やサイズを記載している。
●主要設備:鍛造プレス・熱処理炉(同32ページ)
使用設備の例として、こちらの写真に示すような1万5000トンプレス、3000トンプレス及び水処理設備である溶体化処理用と時効処理炉がある。
〇品質保障システム(同33ページ)
同社は、世界をリードする最高品質の製品を届けるため、厳格な品質保証システムを有している。
ISO9001、AS9100といった国際的な認証に加え、Nadcap NDT(非破壊検査)認証やNadcap HT(熱処理)認証も取得している。
試験検査項目としては、3次元測定器による寸法測定、高度測定、電気抵抗測定、引張試験等、多岐にわたる。
〇トピックス(同34-35ページ)
鋳鍛製作所でのリサイクル及び再資源化の取り組みについて紹介する。
機械加工で発生する切粉は切削油を含んでおり、切削条件について様々な形状を取る。集めても、かさ密度が小さく、1立方センチメートルあたり1グラム以下。これではリサイクル溶解時にロスが大きいという問題がある。それは、かさ密度が小さいため、アルミ溶湯に浮かび、溶湯表面で切削油が燃焼し、切粉が酸化することでアルミのロスが大きくなる。
この課題に対して同社は、切粉をブリケットマシンにより機械的に圧縮し、切削油を絞ると同時に、溶解に適したブリケット(右写真)を成形している。
ブリケットは、かさ高密は2.2グラム/立法センチメートル以上と大きいため、浮かびにくくなる。
これにより、溶湯表面での燃焼が抑えられ、切粉が効率よく溶解され、適切に溶解すれば97%以上のアルミを回収、リサイクルが可能。現在、月100トン以上の切粉を再資源化している。
(IRuniverse 井上 康 )