金採掘で中国最大手である紫金鉱業集団は1月10日、上場する香港証券取引所で、「中国リチウム大手の厳格鉱業の買収で交渉している」と発表した。厳格鉱業は中国最大の塩湖とされるチャルハン塩湖の一部権益を所有しており、実現すれば、紫金はリチウム資源を大幅に拡大することになる。
厳格鉱業側も上場する深圳証券取引所で同内容を発表した。
プレスリリース(紫金鉱業、英語): 2025011000050.pdf
プレスリリース(厳格鉱業、中国語): 深圳证券交易所-公告正文
発表によれば、紫金は厳格の筆頭株主である西藏藏格創業投資集団と、第2位株主の寧波碅山保稅港湾区新沙紅雲投資管理の大株主2社と厳格株の売却について協議している。新浪網などの中国メディアが1月11日に報じたところでは、西藏藏格創業は系列会社の分も含めて厳格株の発行済み株式のうち17.51%を、寧波碅山保稅港湾区は7.21%をそれぞれ保有しており、もし2社がともに売却すれば、紫金の持ち株比率は24.72%となる。
また、厳格は紫金がすでに出資している中国銅生産の巨龍銅業の株主でもあるため、厳格を通じた紫金による巨龍への影響力も拡大することになる。
紫金は中国内外で他社買収を進め、アルゼンチンやチベット自治区などにもリチウムの生産拠点を持つ。厳格は青海省に本拠を置き、同省西部のチャルハン塩湖でバッテリーグレードの炭酸リチウムのほか塩化カリウムなどを生産していたが、事実上のトップが2022年までに違法採掘で一時逮捕されるなどして経営が揺らいでいた上、足元のリチウム価格の低迷も業績の重荷となっていた。
(IR Universe Kure)