コバルト採掘を手掛ける豪ジャーボア・グローバルが上場するオーストラリア証券取引所(ASX)での株式取引を停止している。1月2日に自社ホームページ上で「同社に融資を行った米ファンドのミルストリート・キャピタル・マネジメントとの間で、株式の非公開化に合意した」と発表した。実質的な破産手続きに入ったことになる。
■米破産法を申請へ
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非公開化の手続きの一環として、米連邦破産法11条(チャプター11)も申請する。ミルストリートからブラジルのサンミゲルポウリスタ・ニッケルコバルト精錬所の再開資金を含め1億4500万ドルの融資を受けるとともに、ミルストリートからの債務を株式に転換するなどの資本整理を実施する。
手続き終了後は、ジャーボアのASXでの上場は廃止され、資産はミルストリートに譲渡されてミルストリートが同社を私有化する。手続きは4月末までに完了の見通し。事業は破産後も継続する。
■コバルトとニッケル、どちらも2022年以後に急落
ジャーボアはコバルトとニッケルに注力する国際資源会社。しかし、どちらの金属価格も2022年のピーク時から半減しており、製品価格の低迷が経営を直撃した。ジャーボアのブライス・クロッカー最高経営責任者(CEO)は発表資料中で、「現在のコバルト価格が史上最低水準にあることから、ミルストリートとの話し合いは当方の満足のいくものにはならなかった」と苦渋を滲ませた。
ジャーボアはフィンランドにコバルト精錬所を所有するほか、2019年に米アイダホ州のコバルト鉱山を買収した。しかし、アイダホの鉱山で大規模リストラを迫られるなどコバルト価格に下落が経営を直撃した。
過去5年間のLGコバルト価格とLMEニッケル価格の推移
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(IR Universe Kure)