講演タイトル:「アルミニウム産業の脱炭素化への挑戦:リサイクルを軸とした持続可能な未来へ」
講演内容:
アルミニウム産業は、製造過程で多くのCO2を排出する課題に直面している。特に新地金製造時のCO2排出が全体の約90%を占め、その中でも電気分解工程が大きな割合を占めている。この問題に対し、リサイクルが重要な解決策となる。アルミリサイクルは新地金製造に比べてエネルギー消費量が3%程度で済むため、CO2排出削減に大きく貢献する。しかし、スクラップの海外流出や回収・分別の難しさなど、課題も存在する。
三協立山株式会社は、社内外でのスクラップ再利用やCO2フリー電力の導入など、積極的な取り組みを行っている。富山県では、産学官連携によるリサイクル技術の研究開発も進められている。今後は、リサイクル率の向上と技術の高度化、そしてアルミリサイクルを付加価値として捉える意識改革が重要となる。アルミニウム産業全体でのカーボンニュートラルに向けた取り組みが、持続可能な未来への鍵となるだろう。
プロフィール:
1964年 富山市生まれ
京都大学 工学部 金属加工学科 卒業
1986年 三協アルミニウム工業㈱(現三協立山㈱)入社
入社以来、技術部門で、主にアルミニウム・マグネシウムのR&Dに従事する
2023年 三協立山㈱三協マテリアル社副社長就任