2025年4月のチタン原料市場は横ばい。4月に入り値動きがあったのは金属チタンとフェロチタンのみで、ほかは動きが鈍い。人件費や電気料金などの生産コストがかさむため値下げに踏み切れない生産者と、景気の先行きへの不安感から調達に動けない川下業者の間で綱引きが続き、膠着感が強まっている。
■金属チタンとフェロチタン、小幅に値下がり
過去3か月間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg)
中国の一般産業向けスポンジチタンは4月3日に仲値$6.816/kgを付けた。3月13日に付けた$6813から小幅に下げた。水準としては依然として2024年8月下旬以来の高値を圏にある。FerroAlloyNetは4月3日付レポートで、「3月までと同様、一時的な供給ひっ迫懸念が続いているが、川下業者は価格に敏感で、一段の値上げは難しくなっている」と指摘。様子見ムードも漂っていると分析した。
過去3年間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($/kg)
スポンジチタンのうち、航空機向けは2023年1月から横ばいが続く。
過去3か月間のフェロチタン価格の推移(Ti 70% EU)($/kg Ti)
フェロチタンは4月3日に$5.825/kgを付けた。3月中旬に節目の$6台を割り込み、その後も段階的に水準を切り下げている。FerroAlloyNetは「鉄鋼需要の先行き見通しが楽観的ではないため、既に一定の在庫を確保済みの製鉄所が多い」とし、慎重なムードが市場を覆っているとした。
■精鉱は3月半ばから、ほかは2月から値動きなし
ほかの形状のチタン原料は動きがない。上海有色網(SMM)は3月27日付のレポートで「需給の行き詰まりで価格は頭打ち」と指摘した。コスト高で製品価格の値下げに踏み切れない一方、川下の最終需要も回復せず、膠着状態が続いていると述べた。
チタン精鉱
過去3か月間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)
過去3か月間のルチル価格の推移(95% Ti02 bulk Fob豪州)($/ton)
チタン鉱石は3月13日に付けた仲値$372.5/tonから横ばい。ルチルは2月1日に付けた仲値$1135/toから動きがない。
過去3か月間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)
全体の6割を占める塗料向けの二酸化チタン価格は2月27日に付けた仲値$2070/tonから動きなし。水準としては2024年12月中旬以来の高値圏にある。
過去3か月間の四塩化チタン価格推移(99.99%min EXW China)(Rmb/mt)
四塩化チタンは2月13日に仲値RMB6000/mtの節目を回復した後は動いていない。
チタンスラグ市場にも無力感が漂う。FerroAlloyNetによると電気代などのコスト上昇に苦しむメーカーが多く、メーカー側の生産意欲が衰えているという。
<Topics>
3月24日
東邦チタニウムは3月24日、「 完全子会社のトーホーテックの発行済株式の65%をワールドインテック譲渡する」と発表した。同日付で発効する。
関連記事:トーホーテック、ワールドインテックへ株式譲渡を決定 | MIRU
3月21日
トランプ米大統領は、第6世代の戦闘機について2029年1月までの任期中に、製造・配備を始めると発表した。1機当たりのチタン使用量が増加する可能性がある。
関連記事:チタン:F22の後継機種、F47に決定で、どうなるチタン使用量? | MIRU
3月20日
中国チタンメーカーの2024年12月決算が出そろった。国有化学の山東魯北化工が3月20日に上海証券取引所で発表した2024年12月決算は、売上高が前の期比15%増の57億元、純利益は2.6倍の2億6000万元だった。主力の二酸化チタンの販売が好調で収益を押し下げた。
同業の中核華原鈦白が3月11日に発表した2024年12月期決算も、売上高が前の期比39%増の69億元、売上高が35%増の5億6500万元と増収増益だった。
魯北化工の2024年12月期決算概要
中核華原鈦白の2024年12月期決算概要
(IR Universe Kure)