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米モンタナ州の銅鉱山跡鉱廃水で大規模レアアース資源を発見

2025/05/21 17:41

 ニューヨークタイムズは21日、米国モンタナ州のブット鉱山の跡地のバークレイ・ピットから排出される有害な鉱廃水からレアアース資源が生産可能と伝えた。

 

 50年前の話にはなるが筆者は世界の鉱山業を1年間だけ勉強した事がある。その当時、チリ政府は米国企業が所有する銅鉱山を国有化した。自社鉱山が国有化された米国企業の名前の一つがアナコンダ銅鉱山会社Anaconda Copper Mining Company であった。

 

 最初にバークレー・ピットを採掘した鉱山会社がアナコンダ銅鉱山会社であった。ブット鉱山はその後ARCO(Atlantic Richfield Company)が引き継いだ。バークレイ・ピットはすり鉢状で深さが46mもある。

 

 排出される鉱山廃水中には、これまで銅、ヒ素、カドミウム、亜鉛の他に、鉄鉱石から自然に生成された硫酸も含まれてpH4.1~4.5で極めて強い酸性溶液が発生している。このため、米国環境局EPAの環境を元に戻す法律「スーパーファンド法」の対象地区となっているようだ。

 

 これまで鉱廃水は酸性溶液の特徴を活かして、スクラップ鉄で銅、亜鉛などを置換法で回収してきた。この大量の鉱廃水処理で、ウエスト・バージニア大やバージアン・テックなどの大学が研究した結果、鉱廃水にはレアアースが混入しており、鉱山廃水処理技術(L3)が進歩して回収可能である事が判明した。

 

 回収可能なレアアースとして磁石などの使われるネオジウムやプラセオジウムなどの他にも多数のレアアース資源が期待されている。この鉱廃水処理に米エネルギー省DOEが$7500万の投資を決定している。このレアアース回収が実現すると世界のレアアース資源の15%相当の規模になるとニューヨークタイムズが伝えている。

 

 また、この銅鉱山の跡地の鉱廃水以外にもバージニア州の石炭鉱山跡地の鉱廃水にもレア―・アース資源があるとされている。米国の戦闘機F1にはレアアースが900ポンド(408kg)も使われている。産業用のみならず防衛産業の用途も莫大な量になっている。

 

 これまでレアアース資源は世界では極めて限定的な地域でしか資源が見つからないと思われてきた。特に重希土類は極めて希少資源で中国やアジア圏以外には資源が無いと思われてきた。

 

 モンタナ州ブット鉱山跡地のオープンピットから流れ出る鉱廃水は地域の水資源の汚染の懸念が残る。鉱廃水処理は日本の元の鉱山跡地でも同様の環境汚染防止対策費は膨大な金額になっている。レアアース資源は日本の鉱廃水には無いだろうか。

 

 

(IRUNIVERSE 片桐)

 

 

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