
年々、日本のELV(EndOfLifevehicle=使用済み自動車)の発生台数は減少している。
この背景として、新車販売台数の減少、中古車輸出の増加、が挙げられるのだが、それ以前に、加速度的な少子高齢化、結果としての人口減がある。
当然のことながら人口が減ればクルマの需要も減る。クルマにとどまらずあらゆる需要がシュリンクしていくことになる。
この廃車台数の減少は縮小する日本社会の縮図といえる。
2024年(暦年)の使用済自動車発生台数(速報値): 約260.8万台(前年比4.5%減)。3年連続で前年を下回り、過去10年で最低の水準となっています。
傾向としては、近年減少傾向にあると言えます。 これは、自動車の平均使用年数が長期化していることや、新車の買い控えなどが影響している可能性があります。また、中古車輸出の増加も国内の廃車台数に影響を与えます。
2024年の輸出抹消登録台数と軽自動車輸出届出台数の合計(速報値): 173万台で、過去最多を記録しています。これは、海外への需要が高まっていることを示唆しています。
抹消登録台数は、自動車の保有台数や新車販売台数と密接に関係しており、「前期末自動車保有台数+当期新規登録台数-当期末自動車保有台数」で算出されます。
まとめると、国内で実際にリサイクルされる「使用済自動車引取台数」は、近年減少傾向にあります。
一方で、海外へ輸出される「輸出抹消登録台数」は増加傾向にあり、日本の自動車が国内で廃車になる前に海外で再利用されるケースが増えています。
新車の販売台数は年々減少している。
(新車販売台数の推移)
また、中古車の販売台数も減少している
(中古車販売台数の推移)
そして結果的に廃車の発生台数も減少。
(廃車発生台数の推移)
2024年は260万台まで減少。
この先も250万台、240万台と減り続けていくことは間違いない。よほどのことが無い限りは。。
そして最近
2024年の日本の出生数が70万人を割る、という衝撃的なニュースがあった。
(NHKニュースサイトより)
一方、死亡者数は増加。一昨年(2023年)は125万人。昨年2024年は160万人。出生数の2倍以上の方が亡くなっている。人口減がさらに進んでいくことは明らかだ。
(厚生労働省HP)
さらにFOURIN社の予想では以下図の通り、新車販売台数は2050年には300万台近くまで減ると予想されている。
自働車産業ならびにリサイクル業界にとってはきわめて憂鬱な未来予想である。
こうしたシュリンクする市場につれて、自動車リサイクル業界もやはりシュリンクすることは不可避。
そして金属、樹脂のリサイクル業界にも影響は及ぶ。
再生材の利用促進、という発展的な話題もあるが、一方でシュリンクする業界をいかにソフトランディングさせていくかも課題であろう。
こうした課題についても6.25の自動車リサイクルサミットでは議論していきたいと思う。
⇒6.25 自動車リサイクルサミットⅣ in 東京 ~様変わりした中古車・廃車市場の今~
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