中国税関総署が6月9日に発表した中国の2025年5月の貿易統計で、1-5月のレアアース輸出総額は前年同期比20.9%減と、減少率は1-4月の15.3%減から悪化した。中国が4月4日から実施している中重希土類のレアアース輸出規制の影響が続いた。
1-5月の輸出量は前年同期比では2.3%増で、増加率は1-4月の5.1%増から鈍化した。ただ、5月単月での輸出量は5864トンと4月単月の4784トンから22.6%増えた。
一方、1-5月のレアアース輸入総額は前年同期比6.8減と、減少率は1-4月の19.5%減から大幅に改善した。輸入量は21.7%減で、減少率は1-4月の23.6%減から縮小した。
■米中、9日に閣僚級会議
米中のレアアース交渉には軟化の兆しが伝わる。両国はトランプ米大統領と中国の習近平国家主席が6月5日に電話会談を行ったことを受け、6月9日に閣僚級会議を予定する。米ブルームバーグ通信は6月8日、閣僚級会議を巡り「ハセット米国家経済会議(NEC)委員長が、米国側は重要鉱物の流通回復を目指す考えだ、と明かした」と伝えた。また、中国商務省は6月7日、「レアアース輸出を一部認可した」との報道官談話を発表した。
プレスリリース: 商务部新闻发言人就中重稀土出口管制措施答记者问
中国は6月2日には米自動車メーカー向けの一部にレアアース輸出の認可を与えたと伝わる。世界の自動車メーカーの間では、中国の輸出規制でのレアアース不足による生産への影響が懸念されていた。
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■関税「休戦」も対米貿易振るわず
5月の貿易統計全体では、輸出は前年同月比4.8%増、輸入は3.4%減で1032億ドルの貿易黒字だった。輸出の伸びは4月の8.1%増から一段と鈍化した。輸入も0.2%減だった4月から減少率が拡大した。米中は5月に関税の応酬を「一時休戦」したが、対米貿易がやはり振るわず全体の落ち込みにつながった。
1-5月では輸出が前年同期比6.0%増、輸入が4.9%減で4718億ドルの貿易黒字だった。
(IR Universe Kure)