アフリカ南部のジンバブエが2027年からリチウム精鉱の輸出を禁止する。同国から輸出できるリチウムは硫酸リチウムのみとなる。同国広報が同日の内閣府会議での決定について、Xに投稿した。国内経済の発展促進を目指した措置で、単純な資源輸出国から加工重視の経済への転換を図る。
議会で発言するチタンド鉱山・鉱業開発相
(出所:ジンバブエ広報X投稿)
■硫酸リチウムのみ輸出可能に
Xの同国広報のアカウントに、ウィンストン・チタンド鉱山・鉱業開発相が「政府は地元の精鉱業を促進するために2027年1月からリチウム精鉱の輸出を禁止する」と述べる様子の投稿があった。同氏はフェロクロムについても「クロム鉱石の輸出禁止を再確認し、フェロクロム産業を地元で発展させる」とした。
■地元経済の発展目指すも現実は
ジンバブエはアフリカ最大のリチウム埋蔵国。ただ近年はリチウム産業の管理を強化し、2022年から未処理のリチウム鉱石の輸出を禁止していた。今回の措置により、リチウムの輸出はより高度に加工された硫酸リチウムに絞られることになった。
現地紙のニュー・ジンバブエの6月11日報道によると、現在、ジンバブエ内のリチウム加工工場は、中鉱資源集団が出資するBitita lithiumと浙江華友コバルトが出資するproject Lithium Zimbabweの中国資本2か所。輸出はそこからのみになる予定だ。
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インドネシアにおけるニッケル産業の例などがあるように、単純な資源輸出国から加工業への転換を図り、地元経済の発展に結び付けることを目指す国は多い。ただ、現実には中国資本に産業を占拠された形になり、地元経済への恩恵が限定的になる例も少なくない。
(IR Universe Kure)