インドが日本へのレアアース輸出を停止するとの観測が浮上している。ロイター通信が6月14日、「インドのゴヤル商務相が最近、同国国営レアアース会社のIRELに対し、自国分の確保を優先するよう要請した」との関係者の話を伝えた。中国の輸出規制で世界的にレアアースの品薄感が強まる中、資源の奪い合いが本格化しつつある。
日本とインドの関係は良好だが…2023年、岸田元首相とインドのモディ首相
(出所:wikipedia)
ロイター通信は、日本とインドはレアアースの供給について2国間協定を結んでいるため、すぐに供給が止まることはないとみられるとも指摘した。IRELはこの2国間協定に基づいて豊田通商の子会社にレアアースを供給しており、この子会社は2024年に1000トン超のレアアースを日本に輸出した。これはIRELの採掘量の3分の1の規模だという。
中国が4月初めにレアアースの輸出規制を始めてから、特に自動車産業を中心にレアアース不足による生産への影響が出始めている。スズキが軽自動車「スイフト」の生産を、米フォード・モーターがスポーツ多目的車(SUV)「エクスプローラー」の生産をそれぞれ一時停止した。インドを巡っては、6月11日の日本経済新聞が「7月以降に自動車生産がひっ迫する恐れがある」との現地業界団体の分析を伝えていた。
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足元では米中首脳の電話会談を機に、輸出規制の緩和の兆しも伝わる。ただ、一度生じた混乱の影響が出てくるのはこれから。資源の囲い込みと奪い合いが加速する中、日本の立ち位置も問われることになる。
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(IR Universe Kure)