マレーシア不動産開発大手のベルジャヤ・ランド(Berjaya Land Bhd)が、マレーシア内でのレアアース探査に乗り出す。マレーシア現地メディアのEdge Propなどが6月18日に伝えた。通常はホテルやプランテーションなどの開発を手掛ける不動産会社の珍しい取り組みで、各国がレアアースの確保に乗り出す様子が浮き彫りになっている。
■26年秋の採掘開始が目標、初期投資5億円
同国建設大手のインピアナン・ウタラ(Impianan Utara Sdn.)との間で、6月17日にクアラルンプールで共同開発についての覚書を交わした。同国北部ペルリス州でレアアースやその他の戦略的鉱物について、探査と開発を進める。
採掘探査を7月に開始した上で、2026年1月にライセンス申請を始め、同年11月の採掘開始を目指す。投資額は初期に1500万リンギット(約5億1100万円)。さらに加工工場の建設費として1億2000万リンギットの追加投資を見込むという。
■京都ホテルも開発した財閥グループがレアアースに
ベルジャヤ・ランドはマレーシアの富豪ヴィンセント・タン(Vincent Tan、陳志強)氏が率いる複合企業ベルジャヤ・グループの不動産部門。ベルジャヤ空港やベルジャヤタイムズ・スクエアなどの都市施設、高級住宅やゴルフ場などのリゾート施設の開発を手掛ける。日本を含めた海外事業にも積極的で、京都のフォーシーズン・ホテルの開発(売却済み)を手掛けたほか、沖縄や横浜で事業展開する。
同社は今回のインピアナンとの協業では、ベルリス州での家畜用草とドリアンの栽培地の開発でも合意した。インピアナンもマレーシアの不動産総合グループIFPアドバイザーズ・グループ(IFP ADVISORS GROUP)のグループ企業。
中国が4月にレアアースの輸出規制に乗り出してから、世界的に資源の囲い込みの動きが強まっている。レアアース自体は世界に広く分布するが加工を中国に頼る国が多いため、加工技術の確立も合わせて強化する必要がある。そのためには異業種の参入もやむなしとするケースもあり得るようだ。
(IR Universe Kure)