中国の民営鉄鋼大手・青山グループは、韓国POSCOが中国で展開するステンレス関連子会社2社の株式譲渡契約を締結した。契約は7月3日、ソウルにて両社トップによって正式に署名された。
譲渡対象となるのは、江蘇省張家港市にある「POSCO(張家港)ステンレス(通称:張浦)」および山東省青島市にある「青島POSCOステンレス(通称:青浦)」。青山は7月9日より、張浦に第一陣の管理チームを派遣し、引き継ぎ業務を開始する予定だ。
張浦は1997年にPOSCOと中国の沙鋼集団との合弁で設立され、年間110万トンの冷延ステンレス薄板を生産。製錬から冷延までの一貫生産ラインを有し、オーステナイト系、フェライト系、二相系など多様な製品を扱っている。しかし近年は中国国内の競合による能力増強で競争力が低下し、POSCOは2024年11月に株式売却の検討を正式に表明していた。
また、青浦は2002年に張浦およびPOSCOが設立した冷延ステンレス平鋼製品の製造販売会社で、POSCOが80%、張浦が20%を出資している。
青山グループは30年以上にわたりステンレス産業を主軸に成長し、年産1000万トン以上のステンレス粗鋼能力と30万トン相当のフェロニッケル能力を保有。2024年には売上高4066億元(約8.9兆円)を記録し、中国の民間鉄鋼企業として初の年間売上4000億元超を達成、同年のフォーチュン世界500企業ランキングで第265位にランクインした。
今回の買収は、POSCO側の事業再編と中国当局の「低価格・過当競争」是正政策の双方を背景とするものであり、不採算資産の再編や高付加価値化を通じた業界再編の一環と位置づけられる。
(IRuniverse Lin)