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チタン原料市場市況2025年7月 横ばい多い、酸化チタン動かず上昇余地限られる

2025/07/16 14:18
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 2025年7月のチタン原料市場は総じて横ばい。最終製品の需要の鈍さを背景に用途の6割を占める塗料向け酸化チタンの価格が動かず、他の形状も動きが出にくくなっている。6月に急落した鉱石やフェロチタンはやや価格を戻しているが、反発は小幅にとどまっている。

 

■酸化チタン2月から横ばい

 横ばいが続いたのは酸化チタンと四塩化チタン。酸化チタンは2月末から、四塩化チタンは4月半ばから価格が動かない。ルチルや航空機向けスポンジチタンは、もともと値動きが乏しい。

 

過去3か月間の二酸化チタン価格の推移(ルチルTi02 93%min Fob China)($/ton)

過去3か月間の四塩化チタン価格推移(99.99%min EXW China)(Rmb/mt)

過去3か月間のルチル価格の推移(95% Ti02 bulk Fob豪州)($/ton)

過去3年間の航空機向けスポンジチタン価格の推移($/kg)

 

 FerroAlloyNetは7月11日までの週刊レポートで、「中国国内需要が伝統的なオフシーズン入りした上、国際的には関税の制限が強く貿易も低迷している」と指摘した。レポートによると、チタンスラグも工場の稼働率が落ちるなどさえない状態が続いている。

 

■鉱石とフェロチタンはやや戻す

 

過去3か月間のチタン鉱石価格の推移(TI02 50% Fe203.14%)(US/ton)

 酸化チタンの弱さを受け、原材料となるチタン鉱石にも需要減への不安が根強い。7月10日に仲値$311.5/tonを付けた。6月上旬の水準に戻しはしたが、中長期では2021年1月以来約4年半ぶりの安値圏にある。

 

過去3か月間のフェロチタン価格の推移(Ti 70% EU)($/kg Ti)

 フェロチタンも同じ値動き。6月19日の$5.75/kgを保っているが、中長期ではやはり2020年12月以来と、やはりおよそ4年半ぶりの安値水準となる。FerroAlloyNetは「(同じく鉄鋼生産に使われる)アルミニウム粉末の上昇がフェロチタン価格にも波及して下支えしている」と指摘。ただ、フェロチタンの工場は多くが「メンテナンスや生産制限をしている」として、操業が活発ではないとも分析した。

 

■中国の金属チタン1年ぶり高値

 

過去3か月間の一般産業向けスポンジチタン価格の推移( China)($/kg)

 

 唯一、中国の一般産業向けスポンジチタンは値上がりした。7月10日に仲値$7.135/kgと、2024年7月以来1年ぶりの高値を付けた。FerroAlloyNetは、川下需要が大きいわけではないと前置きしたうえで、「2024年秋から続いていた(供給先)工場の在庫処理が進んだため、供給ひっ迫懸念が価格を押し上げている」とした。

 

<Topics>

6月30日

ステンレス鋼やチタンの販売を手がけるUEX(本社:東京・品川)は6月30日、自動車排気系部品を手がける上海市の子会社を解散し、清算すると発表した。中国での生産から完全に撤退する。

 

関連記事: ステンレスのUEX 中国での生産から完全撤退 | MIRU

 

6月12日

 英豪資源大手リオ・ティントは6月12日、自社ホームページ上で、カナダの鉱山で鉱石選別技術の統合を評価する産業実証プロジェクトに760万カナダドルを投資すると発表した。チタンとスカンジウムの含有量を判定する。

 

関連記事: Rio Tinto社 カナダで鉱石選別技術に投資 廃岩石から商業的に利用可能な岩石を探す | MIRU

プレスリリース:Rio Tinto launches ore sorting demonstration project at its Havre-Saint-Pierre mine | Global

 

6月10日

 中国の金属業界団体である国家バナジウム・チタン産業連盟は6月10日、四川省成都市で年次総会を開催し、2025年版の産業統括である「中国バナジウム・チタン産業発展報告(2025)」を発表した。

 同連盟は金属大手の攀鋼集団と四川省内の地方政府などが提携して2023年に創立した。2024年から年刊の産業総括を発表している。

 

関連記事: 『中国バナジウム・チタン産業発展報告(2025)』 | MIRU

 

(IR Universe Kure)

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