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コバルト市場近況2025#8 横ばい、コンゴ輸出規制を様子見 硫酸コバルトは高い

2025/08/19 17:38
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 2025年8月のコバルト市況は総じて横ばい。生産国であるコンゴ民主主義共和国(DRコンゴ)がコバルト輸出の停止を9月まで延長し、その後の措置を見極めたいとの様子見気分から膠着状態となっている。唯一、電池向けの硫酸コバルトは需要堅調期待から上昇し、2022年末以来およそ2年8か月ぶりの高値を付けた。

 

 コバルトを扱う外資系商社の担当者は8月19日、IR Universeの取材に対し「コンゴが9月以降に規制をどうするかの情報がなく、現時点では身動きが取れない」と話した。中国企業などはコンゴ国内で生産を続けているため、コンゴ内での在庫は積みあがっているとみられるが、「一気に放出すれば市況の混乱を招くことから、割当制など何らかの規制は続くと見ている」とも予想していた。

 

関連記事: コンゴ、コバルト輸出禁止を3か月間延長 9月下旬まで・外電 | MIRU

 

 

■LG、HG、LMEはともに横ばい圏

過去3か月間のLGコバルト (Co99.3%)($/LB)価格の推移

過去3か月間のHGコバルト (Co99.8%)($/LB) 価格の推移

 

 ベンチマークとなるLGコバルトは8月7日に仲値$15.55/LBを付けた。5月上旬に付けた直近高値($15.85)からは下落基調にあるものの下値も堅く、ほぼ$15半ばでの展開が続いている。

 航空機向けなどのハイグレード品であるHGコバルトも同調した動き。8月7日仲値は$19.05/LBだった。7月24日に節目の$19を割り込んだが戻している。

 

過去3か月間のLMEコバルト価格の推移($/ton)

 

 国際価格のLMEコバルトも横ばい。8月18日高値は$3万2890/tonだった。6月9日に節目の$3万3000を割り込んでからは横ばいが続く。

 

■硫酸コバルト、蓄電池などへの需要期待

過去3か月間の硫酸コバルト価格の推移(20.5%min China)(RMB/Mt)

 

 一方、電池向けの硫酸コバルトは上昇している。8月7日に仲値RMB5万と節目のRMB5万を上回り、2022年12月以来の高値に上げた、前出の外資系鞘腫の担当者は「電池向け材料は電気自動車(EV)向け三元系電池のほかに、蓄電池などへの需要堅調に対する期待が根強い」と指摘した。

 

■Topics

8月18日

 アドバンストマテリアルジャパン(AMJ)は、出資する台湾のリサイクル企業、聯友金属科技(リエンヨウメタルズ)と共同で、リサイクル原料由来のコバルト硫酸塩、コバルト炭酸塩およびコバルトの金属粉末(メタルパウダー)の供給を目指す方針だ。産業新聞が8月18日に伝えた。

 

7月28日

 国際業界団体のコバルト協会(Cobalt Institute)は7月28日、ホームページ上で、2025年4-6月期のレポートを発表した。コンゴの輸出規制により、2025年のコバルト供給量は激減する恐れがあると指摘した。

 

プレスリリース:Quarterly Market Report - Q2 2025 - Cobalt Institute

 

(IR Universe Kure)

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