銀の国際価格が急伸している。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の銀価格は9月1日に$40.723/tozと、2011年9月以来14年ぶりに$40の大台に乗せた。NY市場では金価格が過去最高値を更新しており、追随する動きが波及している。金に比べ割安との見方や工業向け需要の回復期待もあり、買いの矛先が向かっている。
過去15年間のNY銀価格の推移($/toz)
FXEMPIREなどの海外メディアの9月2日の報道によると、銀は取引量が増えているほか、関連の投資信託(ETF)なども取引が活発化しているという。トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のクック理事の解任を働きかけるなどFRBの不安定感が目立つ中、米ドルや米株への投資を避けて安全資産としての金や銀を買う動きが強まっている。米インフレ圧力の高まりで米利下げが予想されることや、国際紛争の長期化も貴金属高騰の追い風となっている。
また、銀は金と比べて工業向け需要が多い。8月31日発表の中国の製造業景況感指数(PMI)が小幅ながらも前月から改善したことも、支援材料となっている。
中国の製造業PMIの推移
(出所:中国国家統計局)
金価格は過去最高値圏で高騰を続ける。9月1日は$3516.1/toz。8月末に初めて$3500台に乗せ、その水準で推移している。NY市場ではパラジウムとプラチナは比べるとさえない。
過去20年間のNY金価格の推移($/toz)
(IR Universe Kure)