
2025年9月10日、豊田通商株式会社(以下:豊田通商)は、台湾Ta Chen Stainless Pipe Co., Ltd.(大成不銹鋼工業股份有限公司、以下:TCSP)の第三者割当増資を引き受け、資本参加したと発表。出資額は4,665万米ドル(約70億円)。
1.出資の背景
TCSPは、台湾を拠点とするステンレスおよびアルミ材の大手メーカーであり、グローバルに事業を展開している。北米では、アルミコイルを製造するTCI TEXARKANA, INC.(以下:TKA)をグループ会社として保有している。
現在、北米のアルミニウム市場では、需要が供給を上回る状況が続き、今後もこの傾向が継続すると見込まれている。アルミニウムは電気自動車の軽量化実現のために不可欠な材料であり、安定的な調達先の確保が重要な課題となっている。
アルミコイルを製造しているTKA工場
2.出資の目的
豊田通商は、2023年に冨士発條株式会社とともに米国にFUJIHATSU & TOYOTSU Battery Components, North Carolina LLC(以下:FTBC)を設立し、車載用電池のアルミセルケースおよびセルカバー※の製造を行っている。
今回の出資は、TKAを通じてFTBCをはじめとするセルケース用途に加え、それ以外のニーズにも対応したアルミニウムの長期的かつ安定的な供給体制を構築することを目的としている。また将来的には、供給先の製造工程で発生するアルミスクラップを回収し、TKAにて原料として再利用するクローズドループの構築を目指すとしている。
豊田通商は、電動車の普及に不可欠な素材の調達から製造・供給までを一貫して支えるグローバルなサプライチェーンの構築を推進するとともに、カーボンニュートラルの実現に貢献していくとの事だ。
※セルケースとは、車載用電池のセルを保護し、外部環境からの影響を防ぐための外装部品。セルカバーとは、セル開口部を密閉し、内部構造を保護するもの。
[TCSP 概要]
[TKA 概要]
(参考)[FTBC 概要]
(IRuniverse Ryuji Ichimura)