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ICBR 2025バレンシア 「航空宇宙から技術から生まれたリチウム電池火災対策の革新技術」

2025/09/16 15:51 FREE

2025年国際電池リサイクル会議(ICBR)の展示場からシリーズで企業を紹介しているが、第二弾はLINEV System UKを紹介する。同社は、X線を使用したスクリーニング機材全般を手掛けているが、そのうちの一つが使用済みポータブル電池の自動選別機だ。

同社ブースで話を聞いたNeil Harrington 氏によると、欧州では使用済ポータブル電池の選別過程では、手選別で行なっている業者が大多数だという。これはラベル表示のない電池は選別が難しく、目視がより確実だという理由からだが、長時間の立ち仕事で作業員の負担が大きく健康上の懸念も皆無ではない。加えて目視による選別も完璧ではなく、種類の判明しない「その他」電池も多数発生し、種類の異なる電池が混入し汚染につながるケースも発生している。作業員のトレーニングやシフト制による夜間労働の賃金などのコストも大きい。LINEV Systemの自動電池選別ソリューションは、こうした問題を一気に解決にしてくれるものだ。選別の精度については、電池の種類によって多少異なるが、95%から98%と高い数値を実現する。

精密診断による効率的な電池選別

資源循環が推進されるなか、グローバル規模で電池のリサイクル需要は高まりつつあるなか、ここ欧州ではEU電池規則により、電池の回収・リサイクル、また一部の電池には再生材の使用が義務付けられている。一方で現状ではポータブル電池の多くはラベル表示がないものが多く中に何が入っているかわからない状態だ。そのため、使用済みポータブル電池を効率的に選別することはリサイクル過程で大きな課題となっている。LINEV Systems社が開発した「BATTERAY」は、X線による検知と人工知能アルゴリズムを組み合わせ、内部化学組成に基づいて電池を高精度に分類することを可能にするソリューションだ。

BATTERAYの技術と仕組み

BATTERAYは、高速イメージングとリアルタイム分類システムに基づいている。X線により電池内部の構造を可視化し、データを解析するAIと組み合わせることで、リチウムイオン、ニッケル水素、アルカリ電池などの化学的区分に応じた高精度の分類を実現する。この技術の新世代として開発されたのが「BATTERAY ZETA」である。ZETAは使用済み電池をより精密に識別・分類するために設計されており、産業用リサイクラーに向けた次世代ソリューションとして位置づけられている。

新製品「BATTERAY OptiX」:光学認識による検知性能の強化

BATTERAYシリーズにおける最近の革新が「BATTERAY OptiX」である。これは光学リニアカメラを組み込んだ最適化版で、X線検知と光学認識を組み合わせることで、検知の堅牢性と信頼性をさらに高めている。特に物理的あるいは外観上の構造が異なるバッテリーの識別を得意とする。

電池の選別は、火災リスクやリサイクル工程の汚染を防ぐためには不可欠である。BATTERAYは、電池が処理ラインに悪影響を及ぼす前に識別することで、事後対応ではなく予防的な装置としても機能するものだ。

またBATTERAYは、家庭用乾電池や蓄電池、電子機器廃棄物など、混合フローを扱う産業リサイクラー向けに設計されている。軽量廃棄物、電気機器廃棄物、さらには損傷したリチウムイオン電池が混入する可能性のある家庭ごみ処理など、幅広いアプリケーションに対応可能となっている。

同社は日本市場への進出にも意欲を見せている。問い合わせは以下あるいはMIRUへ。
https://batterysorting.com/#nav-form


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SCHANZ, Yukari
 オーストリア、ウィーン在住フリーライター。現在、ウィーンとパリを拠点に、欧州におけるフランス語、英語圏の文化、経済、産業、政治、環境リサイクル分野での執筆活動および政策調査に携わっている。専門は国際政治、軍事、語学。
 趣味は、書道、絵画、旅行、フランスワインの飲酒、カラオケ、犬の飼育。
*ヨーロッパに御用がある際はぜひご連絡ください→ MIRUの「お問い合わせ」フォーム又はお電話でお問い合わせください。

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