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帝人の炭素繊維織物が NCAMP 認証を取得

2025/09/18 18:04 FREE
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帝人の炭素繊維織物が NCAMP 認証を取得

 帝人株式会社は9月18日、炭素繊維「テナックス」を用いた炭素繊維織物が、米国のNCAMP(National Center for Advanced Materials)から認証を取得したと発表した。今回の認証は、同社の炭素繊維織物に Syensqo N.V(本社:ベルギー・ブリュッセル市、以下 サイエンスコ社)のエポキシ樹脂「PRIME® EP2400」を組み合わせ、真空含侵工法(VaRTM 工法)(*1)を用いる条件で取得したもの。VaRTM 工法が NCAMP の認証を取得したのは今回が初めてとなる。

(*1)VaRTM 工法(Vacuum assisted Resin Transfer Molding):真空吸引の力を利用して炭素繊維織物などの基材に樹脂を含侵させる成形法。RTM 成形法の一種。

 

 NCAMP は、ウィチタ州立大学(米国・カンザス州)が運営する民間認証機関で、認証された複合材料の仕様は、米国連邦航空局(FAA)、欧州航空安全局(EASA)および ブラジルの国家民間航空機局(ANAC)に認められている。

 

 同社は、航空宇宙産業向けの化学製品などを手掛けるサイエンスコ社とともに、 VaRTM 工法による航空機構造材の実用化を目指し、ミシシッピ州立大学先進複合材料 研究所と提携して研究開発を進め、NCAMP 認証の取得を目指していた。

 

 今回認証を取得した炭素繊維織物は、同社の「テナックス」繊維束を一方向に配列したものをさまざまな角度で積層したノンクリンプファブリック(NCF)および、同様に一方向に繊維束を並べてシート状にしたユニダイレクション(UD)。これらにVaRTM 工法を用いて成形した炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、航空機構造材向けに多用されるオートクレーブ成形法(*2)による CFRP と同等性能を有しており、小型から大型の構造材に対応可能であるほか、オートクレーブ成形法と比較してより複雑な形状への対応も可能だ。

(*2)オートクレーブ成形法:型にプリプレグを積層し、バギングフィルムで覆った後、オートクレーブ(圧力釜)内の空気や揮発物を真空除去し、加熱・加圧して硬化させる成形法。

 

 航空機メーカーや部品サプライヤーは、認証された材料と製法を用いて、NCAMP が公開しているデータベースを活用することで、自社による個別試験などを省略できるため、 民間航空の安全を管轄する政府機関からの認定を効率的かつ低コストで取得することが可能になる。これにより、生産コストの削減や、設計から生産までのリードタイムの短縮が 期待され、製品開発の初期段階から量産に至るまでのプロセス全体の加速につながる。


 

(IR universe rr)

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