中国金鉱最大手の紫金鉱業は9月19日、上場する香港証券取引所で、海外事業を手掛ける完全子会社「紫金黄金国際」の香港株式市場への分離上場に向け、上場見積書を発表した。資金調達額では2025年の世界の新規上場で2位の大型上場となる見込みだ。金価格の高騰による業績好調を受け事業拡大を進める。
■海外で8鉱山運営、調達資金でカザフ金鉱買収
プレスリリース: 2025091900073.pdf
紫金黄金国際は紫金鉱業の中国外業務をすべて手掛け、親会社が南米やアフリカなどで展開する金鉱山8か所を運営・管理する。
9月29日に香港市場に上場の予定で、取引コードは2259.hk。上場に伴い約3億5000万株を発行し、そのうち1割を一般向けに公開する。上場時の資金調達額は244億7000万香港ドル(約4662億円)程度の見通しで、調達した資金はカザフスタンのRaygorodok金鉱山の買収費用などに充てる。紫金は6月にRaygorodok金鉱山の買収を発表していた。
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資金調達額は5月の寧徳時代新能源科技(CATL)の357億香港ドルに続き、2025年の世界の新規上場株で2位となる可能性が高い。機関投資家にはシンガポール政府系ファンドのGICや米米ヘッジファンドのブラックロックが参加する。
■インドネシアの金鉱企業も株式上場を計画
金価格の高騰により、世界の金鉱企業は好調が続く。紫金鉱業の2025年1-6月期決算は売上高が前年同期比12%、純利益が同54%それぞれ伸びて増収増益だった。
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金鉱企業の好調は中国勢にとどまらない。9月19日の米ブルームバーグ通信によると、インドネシアのムルデカ・ゴールド・リソーシズも、2025年内に同国で最大規模となる2億8000万ドル超の新規株式公開(IPO)を計画しているという。
金価格は9月18日のニューヨーク商品取引所(COMEX)で、$3678.8/tozを付けた。9月16日には$3725.1と、過去最高値を更新していた。アナリストの間では、ドイツ銀行が9月17日に2026年の価格予測を4月時点の$3700から$4000に引き上げるなど、予想の上方修正が目立っている。
過去20年間のNY金価格の推移($/toz)
(IR Universe Kure)