豪タイヴァン・リミテッド(Tivan Limited)は9月16日、ノーザンテリトリー(NT準州)にあるMolyhilタングステン・モリブデン鉱山プロジェクトの100パーセントの権益を取得するための拘束力のある基本合意書を、Investigator Resources社およびThor Energy社それぞれの子会社との間に締結したとの声明を発表した。買収対価は総額875万豪ドル。
同プロジェクトはアリススプリングス北東約220kmに位置し、鉱物資源量(MRE)は464万7000トンで、三酸化タングステン0.26%、モリブデン0.09%と推定されている。これは、三酸化タングステン1万2100トン、モリブデン4400トンに相当する。
同鉱床の歴史を辿ると、1970年代から80年代初頭にかけて小規模採掘が行われたものの、その後はなかなか開発が進まず、Thor Energy社による確定採算性調査が完了したのが2018年、そして2024年5月にInvestigator社が鉱物資源量推定値の更新を行なったところであった。
Tivan社は元々、同プロジェクトに隣接するSandover蛍石プロジェクトを所有しており、Molyhilプロジェクトの権益取得が完了すると、この蛍石プロジェクトとインフラ・運営・物流面での極めて重要なシナジー効果を有することになるとして、その優位性が強調されている。さらには、こうしたシナジー効果により豪州中部における長寿命重要鉱物地区の計画を可能にするものであるとも述べられている。
同社のGrant Wilson執行会長は、自社を「Molyhil プロジェクトの然るべき所有者」であると表現。「我々はこのプロジェクトを長引く孤児段階から脱却させ、生産段階へ迅速に移行させるにあたって必要な能力、地位、決意を有しています」と自信を見せている。ちなみに、同社の声明によれば、タングステンとモリブデンは豪州政府の重要鉱物リストに掲載されているだけでなく、日本の備蓄対象“レアメタル”指定リストにも含まれている。
今回の声明で日本への言及が複数回見られるのは、日本のJOGMECや住友商事との提携関係故だろうか。両者が共同出資している特定目的会社の日本蛍石株式会社は、Tivan社が開発中(探鉱段階)の西オーストラリア(WA)州Speewah(スピーワー)蛍石探鉱事業に出資を行なっている。
(IRUNIVERSE A.C.)