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8月の工作機械受注は同月比8.5%増も内需は自動車など不振で0.9%減と24年1月以来の低水準

2025/09/25 10:42
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8月の工作機械受注は同月比8.5%増も内需は自動車など不振で0.9%減と24年1月以来の低水準

工作機械工業会8月受注確報 8月8.5%増1201.7億円と2ヶ月連続同月比プラス

 

8月工作機械受注1201.7億円(8.5%増)と2ヶ月連続同月比増も2ヶ月連続前月比減

 9/24の15時に日本工作機械工業会の2025年8月工作機械受注確報が開示された。8月受注は1201.7億円(同月比8.5%増、前月比6.4%減)と2カ月連続同月比増加も2ヶ月連続前月比減と低調な動きが続いている。自動車関税の決定が遅れ、様子見が続いている。

外需12.3%増882.77億円と11カ月連続同月比増も前月比5カ月連続減1000億円割れ

外需は882.77億円(同月比12.3%増、前月比5.0%減)と11カ月連続同月比増も、前月比は5ヶ月連続減少し5ヶ月連続1000億円割れ、2月以来の900億円割れに。主要4業種全てで同月比増加、前月比では自動車、電気・精密のみ増加した。一般機械は286.8億円(同月比19.8%増、前月比14.0%増)と2ヶ月ぶり300億円割れも概して堅調。自動車は208.8億円(同月比29.8%増、前月比9.3%増)と2ヶ月ぶり200億円超え、2ヶ月連続で同月比、前月比増加となった。電気・精密は138.2億円(同月比19.4%増、前月比5.8%増)と4ヶ月連続120億円超に。航空・造船・輸送機械は72.9億円(同月比34.6%増、前月比11.3%減)で、2ヶ月連続100億円割れも2年間の平均水準を維持している。

主要3極別ではアジアが432.0億円(同月比1.0%減、前月比9.1%減)と、6ヶ月ぶりに450億円割れに。東アジアは325.3億円(同月比3.2%減)。このうち中国は293.2億円(同月比2.8%増、前月比8.2%減)と同月比17ヶ月連続増加も6ヶ月ぶりに300億円割れとなり、勢いは止まりつつある。中国の一般機械向けは112.8億円(同月比22.6%増)と補助金効果が継続、自動車は76.1億円(12.5%減)とBYDなどのEV投資が一服した模様。電気・精密は79.2億円(51.5%増)と盛り返している。全体として中国の工作機械NC化向上促進への補助金政策継続が支えているが、自動は主力メーカーの投資一段落が影響も。その他アジアは106.7億円(6.2%増)で4ヶ月連続同月比増加した。インドは49.8億円(5.4%減)と、4ヶ月ぶりに同月比減少、3ヶ月ぶりに50億円割れ、ベトナムも18.5億円(14.9%減)となったが、タイの17.9億円(72.2%増)などが寄与した。

北米は290.8億円(同期比26.5%増、前月比8.8%増)。このうちアメリカは240.8億円(同月比17.4%増、前月比8.8%増)と7カ月連続同月比増加。米国主要4業種は一般機械92.6億円(54.3%増)と建機や農機向けが継続増、自動車は19.1億円(20.7%減)とトランプ関税でICE(内燃機関)向け受注の押上げ一服。電気・精密は23.4億円(59.0%増)と大幅回復となった。なおメキシコが14.0億円(11.3%減)とトランプ関税問題が再度不透明感から2ヶ月連続同月比減に。カナダは35.97億円(4.0倍)とトランプ関税の影響がある中で自動車向けでの大型受注獲得から、単月として過去4年間で最大の受注額となった。欧州は141.4億円(同月比32.1%増、前月比14.0%減)と2ヶ月連続同月比増となったが、前月比では4ヶ月ぶりに減少に転じ、4ヶ月ぶりに150億円割れとなった。ドイツが27.2億円(同月比7.3%増、前月比20.8%減)と、同月比で3ヶ月ぶりに増加に転ずるも前月比では3ヶ月連続減となり、8ヶ月ぶりに30億円割れとなる。イタリアは17.3億円(同月比78.1%増、前月比32.1%減)で、先月の反動減、6ヶ月ぶりの20億円割れとなった。その他では、イギリス20.49億円(80.4%増)、トルコ16.5億円(40.3%増)などとなっており、国別、月別の跛行色がある。欧州の主要業種4業種では電気・精密を除き同月比増も、概して低調に推移している。一般機械が34.0億円(19.6%増)も4ヶ月連続50億円割れ、自動車は16.3億円(97.8%増)も9カ月連続の20億円割れでEV不況の影響が大きい。航空・造船・輸送用機械は18.9億円(63.5%増)と防衛向けが好調で、3カ月連続17億円超えに。

 外需全体ではアジアの牽引力が鈍り出した格好で、中国の伸びも縮まってきた感がある、米国はトランプ関税がプラスに働いている模様もジョブショップの動きが悪化してきており息切れ気味。全体では5ヶ月連続で1000億円割れとなり、世界景気の不透明感と重なり力強さが感じられない。

内需319億円(同月比0.9%減、前月比10.0%減)と24年1月の306億円以来の低水準

内需は318.95億円(同月比0.9%減、前月比10.0%減)と5カ月連続400億円割れとなり、1月の319.96億円を僅かに割り込み、2025年の月間最低額、24年1月の306億円以来の低水準に。主要4業種は同月比で電気・精密、航空機・造船・輸送用機械が増加した。一般機械は132.8億円(同月比10.1%減、前月比2.4%減)と、同月比、前月比も2ヵ月連続減、2ヶ月連続140億円割れに。前月比では補助金影響が剥落したことも影響した模様。自動車は61.1億円(同月比14.8%減、前月比23.9%減)とトランプ関税影響の中で老朽化対策更新受注が出た前月から早くも暗転した。特に完成車向けは15.5億円(同月比25.3%減、前月比38.1%減)と厳しい。電気・精密は33.3億円(同月比27.4%増、前月比17.4%減)と、半導体向けが伸び悩み、2月の23億円以来の低水準。航空機・造船・輸送用機械は25.8億円(同月比34.7%増、前月比13.5%増)と航空関連、鉄道車両、港湾輸送設備、防衛関連向けなどが寄与した模様。

全体としてトランプ関税が日米間では一応決着も、力強さはない。特に自動車が依然として設備投資意欲が低調で、EVの不透明継続などもあり、受注の本格回復には時間を要する。

8月販売6.3%減1161億円、受注残8.9%減7292億円は27ヶ月連続同月比減

8月販売は1161.36億円(同月比6.3%減)と3ヶ月ぶりに同月比減少。受注残高は7292億円(同期比8.9%減)と4ヶ月連続7000億円乗せも27ヶ月連続同月比減少している。

8月工作機械4社受注1.9%増、4社合計は同月比15ヶ月連続増加も工業会の伸び下回る

日刊工業新聞が集計している工作機械主要4社の8月受注が9/9に発表された。4社合計で305.45億円(1.9%増)と、15ヶ月連続同月比増加となった。輸出は牧野以外が増加も、国内は牧野、オークマが同月比大幅減となり、全体として久しぶりに工業会の数字を下回った。

牧野フライスが81.77億円(14.8%減)と14ヶ月ぶりに同月比減少に転じた。輸出が63.85億円(1.8%減)とEV向けの向けの剥落などで13カ月ぶりに同月比減少、国内は17.92億円(42.2%減)と4ヶ月連続同月比減少した。前年の自動車向け大型受注の反動も影響した模様。

オークマは130.81億円(0.4%減)と11ヶ月ぶりに同月比減となり、輸出は95.84億円(19.8%増)と米国で航空宇宙、エネルギー関連、中国も幅広く増加し11ヶ月連続増となったが、国内が34.91億円(31.8%減)と足を引っ張った。

芝浦機械は19.44億円(22.3%増)で、国内が10.61億円(28.1%増)と造船、半導体向け大型機が好調、輸出も8.83億円(16.0%増)と北米、インドで大型工作機械が増加、中国向けでは風力発電向けが増加した。

ツガミも73.43億円(29.9%増)で、輸出が68.08億円(32.2%増)と高水準を維持、国内は5.35億円(6.6%増)も水準が低く低調とのこと。

全体として工業会の伸びを下回ってしまったのは、大手ユーザーの自動車向けの不振など、国内の不調が影響している。

 

 

出所:日本工作機械工業会8月受注発表資料、日刊工業新聞社掲載4社受注よりアイアールユニバース加工

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