住友電気工業は20日、ハードメタル事業の製品である超硬合金の工具・素材価格を2026年1月1日受注分から値上げすると発表した。 同社は、物価上昇に加えて、人件費、原料費、物流費高などを値上げの理由として挙げている。
製造・物流・営業・管理部門の合理化など、コスト低減を試みたが、「企業努力だけでは解決することが難しく、製品の安定供給と サービスの向上を一層図るためにも、価格改定を実施することとした」という。
製品別の値上げ幅については合金素材とバイト・金型耐磨製品が15%以上、ソリッドドリル・エンドミル製品が10%以上、超硬インサート製品が 7%以上、その他製品が5%以上となっている。
今回の値上げの一要因である原料高だが、中国の輸出規制によりタングステンの主要相場は、仲値ベースでAPTが$635/MTU、フェロタングステンが$83.75/kgと最高値の水準にある。しかし、足元、中国当局が輸出規制を緩めているとの見方もある。

過去20年間のタングステンAPT・フェロタングステン相場
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またスクラップ相場である、純タングステンスクラップ 99% cif JapanもMIRUの3年超の相場の中で$80.75/kgと最高値にある。国内と同じく海外でも発生薄は深刻だ。

過去20年間の純タングステンスクラップ 99% cif Japan相場
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(IRuniverse G・Mochizuki)